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ブラジル株式指数10連騰、最高値更新

パラグアナ

2017年秋以降ブラジル政府が景気回復フェーズに入ったと宣言したものの、しばらくはそれを実感させるニュースは特になかった。しかしながらここにきて株式市場が活況を呈し始めた。

グローボ系ニュースサイト「G1」やブラジル証券取引所「B3」が1月5日づけで報じたところによると、同日、ブラジル証券市場上場株式インデックス「Ibovespa」が終値ベースで10連騰を達成したという。

1月5日のIbovespa終値は79,071ポイントで、史上最高値を4日連続で更新したことになる。年明けの1週間だけで3.49%、直近10営業日では8.79%の上昇。10連騰は前政権終盤2016年7月以来だ。

市場関係者は上昇の要因を次のように語っている。

「ここのところ悪いニュースが特になかったことで、ブラジル市場の根本的な楽観主義が顕在化してきたものと考えられます」(イレブン・フィナンシャルのアナリスト、ハファエウ・フィゲレイド氏)

根本的な楽観主義の正体は詳らかではないものの、市場の楽観的なムードを高めているのが2018年に入ってからの米国の証券市場主要インデックスだ。ダウ、NASDAQ、S&P500とも年初から最高値を更新し続けている。

また国内の景気に関しては、1月5日午前に発表された11月の鉱工業生産指数が前月比+0.2%、3か月連続の上昇を示しており、これも市場とって好材料となった。景気回復を示す指標だけでなく、国内金利の低下も株式市場への資金流入を後押ししているものとみられる。

物価上昇圧力はまだ弱いものの、世界経済が堅調に推移していることも要因の一つとされる。

労働市場に関しては12月のヨーロッパの新規雇用口数は約15万で、予想されていた19万口より低い水準にとどまっている。その一方で金融面では経済の堅調さを織り込んだ動きも出てきている。欧州中央銀行(ECB)や米国連邦準備制度理事会(FRB)が緩やかな利上げの方向性に舵を切った点について世界景気の底堅さの裏付けととらえる市場関係者も多い。

現地投資会社XPインベストメントの主席ストラテジストでエコノミストのセウソン・プラーシド氏によると、ブラジルにおける急激な市場活性化は様々な好材料の相乗効果の結果だという。

「国内外で好材料が多い中、投資家にとって、投資機会の選択肢が今までになく増えています。選択肢が増えることで多様な投資回収スキームを描けるようになり、結果、従来よりもリスク許容度が上がってきているのではないでしょうか。自動車販売数など今月に入って発表された国内景気動向の指標も良好です。ブラジル中央銀行総裁イラン・ゴールドファイン氏は年始に金利の引き下げについて言及しています」(セウソン・プラーシド氏)

国内金利の低下が及ぼす株式市場への影響について、現地資産運用会社GGRのエコノミスト、フェルナンド・マルコンデス氏は次のように語っている。

「ブラジル国民の大部分は従来、株式投資は行ってきませんでした。投資の中心は預金や債券など元本割れしない利付商品で、これは個人だけでなく、投資ファンドや年金基金などにも共通した現象でした。高金利政策下ではお金を寝かしておくだけでかなりの収入を得られたため、わざわざ元本を割るリスクを負ってまで株式に投資する必要がなかったのです。金利が一年で半分近く下がった今、投資家たちはどうやってお金を稼いでいくのか真剣に考える時期を迎えているようです。ある意味『健全な』投資マインドへのシフトにより、投資マネーが株式投資に向かう結果となっているようです」(フェルナンド・マルコンデス氏)

金利低下により国内資本による株式投資は増加しているものの、証券取引所「B3」での取引の半分は海外からの資金によるものだ。海外投資家の動向が市況に影響することは避けられないが、このところ、海外投資家のブラジルへの投資意欲は旺盛だ。2017年12月から海外投資家の買い越し状況が続いている。2017年通年の海外資本による買い越し額は146億レアル(約5000億円)だった。

不透明感をあげるとすると、ブラジルの政治経済状況は社会保障制度改革の行方次第、という点がある。

テメル政権では2017年中の下院での改革法案採決を目指していたが、12月22日、採決前に議会は休会となり、法案の審議・採決は総選挙の年である2018年に持ち越しとなった。改革法案は国の長期的な財政を左右する重要議案だが国民に不人気なため、選挙での再選を意識した議員たちに対する議会工作はより困難になる。株式市場はこの法案採決の行方を引き続き見守っていくことになる。

現地投資会社ノヴァ・フトゥーラ・インベスチメントスのアナリスト、レアンドロ・マルチンス氏によると、ブラジル経済に関しては、失業率の低下など景気回復を示す指標がある一方で、各指標間に強い景気回復傾向を示すほどの一貫性があるとは言い切れない状況とのことだ。アナリストの総意として存在するのは「2017年に景気の底を打った」という点のみで、あとはそれぞれのアナリストで解釈が異なっているようだ。

とはいえ、市場における株価上昇は、近年の不況の中で効率化をはかってきた企業努力も反映されている。

「わが国には社会保障制度、贈収賄、政局不安定などまだ解消のめどが立っていない問題があります。とはいっても、ブラジルは昔とは違います。変わったのです。不況を経験して企業は経営の効率化を進め、収益体質を強化しました。これは株式の価値を向上させるもので、市場や株主にとってとても好ましいことです。企業の収益力改善傾向は、総選挙の混乱やブラジル国債格付けの低下など重苦しい影響をはねのける強さをもっています」(フェルナンド・マルコンデス氏)

世界の株式市場を見ると、FRBの利上げシナリオにも関わらず年初から史上最高値を更新し続けている米国や、経済の好調さを示す指標に注目が集まり5連騰となった中国をはじめ、アジア各国、ヨーロッパの市場も好調だ。

「直近の米国連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、米国の利上げスタンスは既定のものとしても、緩やかであることが望ましいとの意見が出ています。また、中国経済に関しては減速がささやかれていましたが、公表された指標によると、中国が掲げる経済成長目標は十分達成可能と考えられます。米国の税制改革もプラス要因です。世界でまだしばらく比較的低金利の状態が続きそうですので、投資家は株式などリスク資産への投資を拡大することが見込まれます。株式市場にとってはポジティブな状況は当面続くでしょう。外部環境のブラジル株式市場への直接的な影響は断定できないものの、ブラジルの資本市場活性化の妨げになることはありません」(セウソン・プラーシド氏)

日本でも12月はやや弱含んだものの、年始から勢いのある相場となっている。ブラジル株式を組み込んだETFも年始に価格が上昇している。日伯とも年始のみの「ご祝儀相場」で終わらず、活況が続いていくことを期待したい。

(文/原田 侑、写真/Ivan Bueno/APPA)
自動車販売数も好調。写真は2017年11月27日、パラナグア港。同港からの自動車の輸出量は過去最高を記録したとのこと

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