画像解析の専門家が、カイオ容疑者が爆発物に着火していることを確認

2014年 02月 15日

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TVバンデイランチスの映像カメラマン、サンチアゴさんが、2月6日(木)、ブラジル中央駅付近のデモの取材中にロケット弾と思われる爆発物を被弾して死亡した事件は、TVブラジルのニュース映像がきっかけで、映像に映っているとされる二人の容疑者が逮捕された。

事件の捜査が公表された映像によって進展したこの事件では、ネット上でも映像に関するさまざまな意見が飛び交っている。映像上のカイオ容疑者とされる人物が、逮捕されたカイオ容疑者とは体格が異なるように見えるため、本人ではないのでは? という疑惑の声も。また、無関係の人が容疑者のように言われる事例もでているようで、波紋を呼んでんでいる。

「Jornal Nacional ジョルナウ・ナシオナウ」はビジュアル解析の専門家ネウソン・マッシーニ氏に問題のニュース映像や写真を12日に提出して解析を依頼した。その結果が公表された。2月13日(木)付け「G1」(電子版)が伝えている。

レポーター:この写真の中で走っているのはカイオ容疑者でしょうか?

ネウソン氏:テクニカルにはイエスといえるでしょう。みたところ太って見えますが、イメージがゆがんでみえているためです。

レポーター:太って見えたり頑丈そうにみえますが、大した問題ではないんですね?

ネウソン氏:問題ではありません。ゆがんで見えているだけです。着ているシャツがズボンの中に入れられていないためシャツが広がっている状態であるとか、彼の体の動き、撮影したときのアングルなども影響します。他の人物同様、彼は太って映っていて体もかがんでいますが、これはカイオ容疑者だと断言できます。

ネウソン氏は画像の人物がカイオ容疑者であると断言できる理由を4つ挙げたという。腕時計、スニーカー、ブレスレット、色あせたズボンが容疑者のものと同一とのこと。

レポーター:画像でカイオ容疑者は右腕に腕時計をしていますか?

ネウソン氏:しています。反対の腕には黒っぽいブレスレットをしています。頭部は黒い布で隠しているので頭部に関しては何も言えません。また、色あせたズボンと、容疑者の家で発見されたスニーカーも画像で確認できます。

さらにネウソン氏は、ブラジル中央駅に残された写真、爆発が起きた後の写真でカイオ容疑者の肌の色による判断についても言及した。

ネウソン氏:カイオ容疑者はモレーノです。画像では明るく見えますが、撮影した場所の光量で色は変わります。この画像の中で走っている人物は、駅に映っている人物と同一です。

ネット上で出回り、事件との関連が噂されている写真についても見解が述べられた。問題の写真では、軍警察官の前に立ち、グレーのTシャツを着てジーンズをはいている男性のもの。爆発物に火を付けたあとに走っている人物と服装が似ていることから、カイオ容疑者ではなくこちらの男性が犯人では? という声も上がっていたという。

レポーター:こちらの、軍警察と話しているように見えるこの男性はカイオ容疑者と同じですか?

ネウソン氏:明らかに違います。履いている靴の色も異なりますし、ズボンの色の褪せ方もまったく異なります。Tシャツは同じようなグレーですが、ふたつの写真では汗の含み方がまったく異なります。髪の形も異なり腕時計もありません。光量の問題を差し引いても肌の色は白いといえます。

問題となっている画像の中で軍警察と会話をしている男性は、事件があった2月6日(木)にデモの会場にいた人物で、トマス・サザリオ・アウヴィン・マルチネリさんと言われている。トマス氏は、ジャーナリストが被弾した直後、現場にいたひとたちが彼を助けようとしているから催涙ガスを発射しないよう軍警察に話しているところだという。

また、カイオ容疑者はバイーアで逮捕された際、TVグローボのベッチ・ルケーゼ・レポーターのインタビューに答えており、その中で自分が爆発物に火を付けたと語っている。

(文/麻生雅人、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)
写真は、事件現場に残された破片から、サンチアゴさんを死に追いやった爆発物と同種とみられているロケット弾