ワールドカップ期間、リオ~サンパウロ間の航空券は10万円!?ますます上昇する物価

2014年 03月 11日

ゴウ

今年は例年より遅めの日程で、3月1日からカーニバルが始まった。

日本ではリオのカーニバルが有名だが、リオの風物詩というわけではなく、カーニバルは若干の日程の前後はあるが、ブラジル全土で行われる。特に、東北部・北部の地域のカーニバルはアフリカの影響もあり、独特である。

しかし、やはり有名で最も多くの人を集めるのが、リオデジャネイロであろう。

カーニバル期間はホテルが最低一週間の連泊をしなければ予約できなかったり、航空券が異常に高騰したりする。ホテル宿泊費は通常の3倍近くになり、完全に便乗値上げである。それでも世界中から観光客が集まりホテルが足りないぐらいなので、値下げをする気配はない。

さらに輪をかけて大変になりそうなのが、6月から開催されるワールドカップであろう。すでにホテルによっては宿泊代が5倍の価格になっており、航空券もその期間のサンパウロ-リオ間のわずか40-50分のフライトが往復で10万円以上するのではないかといわれている。

政府も極端な便乗値上げを慎むようにお触れを出しているが、効果のほどはあまり期待できない。

この価格は、海外からの観光客だけを対象にしているのではなく、地元のブラジル人も同じ条件なので、せっかくの自国開催だがホテルも航空券もまったく手が出ないとなれば、開催反対のデモをしたくなるのも無理はないかもしれない。

しかも、実は物価高はカーニバルやワールドカップが終わって何分の一になったところで変わらない。

日本からの多くの企業の駐在員は、サンパウロの中心部であるパウリスタ大通り周辺のジャルジン・パウリスタという一画に住んでいる。

当然安全面を第一にすると、通勤においても事務所に近いこの場所が好ましいのだが、大変なのは家賃。他の新興国と比べられて困っている駐在員が多くいる。当然部屋の広さによって違うが、ワンルールで月額15万円からであるが、2部屋になると25万円前後となり、ファミリーともなると30-50万円と言ったところである。

家電もファミリータイプの冷蔵庫10万円、洗濯機10万円、電子レンジ2万円、ガス台5万円、テレビ10万円(40インチ前後)と日本よりも高い。今や生活必需品である携帯電話はさらにびっくりである。

iPhone5やサムスンの最新機種が15万円以上する。さらに驚きは、ソニーから最近発売されたPS4がなんと20万円前後であり、驚きを通り越して呆れるばかりだ。

昼食に軽く1500円ぐらいかかる今のサンパウロでは、日本の何倍もする価格は不思議ではないし、クレジットカードで分割払いが当たり前のブラジルでは、12回払いにして毎年携帯電話を買い替える中間層が多くいるのだから、価格もなかなか下がらない。

しかし、その多くは税金として政府の懐にも入っているわけで、政治家とお金持ちがますます豊かになる構造となっている。何でもクレジットカードで分割払いするブラジル人も、物価高もあってその多くがそろそろ限度額にきており、ワールドカップと大統領選挙のある今年は、きっかけがあれば大きなデモがまた起こってもおかしくない状況といえる。

(文/輿石信男/クォンタム、記事提供/モーニングスター、写真/André Gustavo Stumpf)
写真はブラジルのエアライン、Gol(ゴウ)航空