全国同時多発デモで掲げられたメッセージやブラジル流ジョーク

2015年 03月 18日

2015大規模デモ

少年が着るネイマールのユニフォームには「僕の未来を守って!」というメッセージが書かれている(サルバドール市のデモより)--。

“モノ言う国民”が当然の権利を行使する場でもある抗議デモは、ブラジルでは主義主張がはっきりと打ち出されるだけでなく、ジョークや揶揄の応酬を含め、思い思いの方法でメッセージを伝えようと、さまざまな工夫を凝らしてデモに参加する人が少なくない。

3月15日(日)にブラジル全国で起きた大規模抗議デモにおいても、サウンドシステムカーの上に乗ってのパフォーマンスから辛辣なジョークによる表現まで、個性的な抗議表現が目を引いた。

2015抗議デモ

仮装さながらのパフォーマンスも。「労働者党(PT)はもううんざり」とジウマ大統領が所属する政府与党を批判(サンパウロ)。

2015年3月抗議デモ

クリチーバでは「クソをタレにいくフリしてそのまま出ていけ」「もうブラジルでクソをタレるな」。ジウマ大統領のイラストを使い、汚職にまみれた政治を汚物に見立てた辛辣な表現も。

2015抗議デモ

仮装はお手の物。カルナヴァウで培われたセンス!? 洗濯人、汚れたお金、洗います(ヘシーフィ)。

2015抗議デモ

北東部ヘシーフィでは地元のカーニバルでもお馴染みの伝統芸能フレーヴォにまつわる人形を手に、カーニバル気分の人も(!?)。ブラジルの国旗のカラーを顔にペインティングした参加者も多かった。

今回のデモは、2014年の大統領選挙でのジウマ大統領再選やペトロブラス贈収賄事件の捜査がさまざまなことを明らかにしはじめていることなどがきっかけのひとつといわれているが、低所得者への所得移転を促す「ボウサ・ファミリア」(条件付き給付制度)への抗議など、労働者党(PT)の政策そのものに対する批判も訴えられた。これらの批判を訴えていたのは、給付を受ける側ではない中産階級以上と思われる。

抗議運動2015

ベロオリゾンチでは「ジウマ、ウソはもうたくさん。キューバに行け! ルーラ(元大統領、ジウマ大統領と同じ労働者党(PT))も連れていけ」という声が。

2015抗議デモ

サンパウロでは「白人のエリートがジウマに抗議している」と揶揄した紙を掲げる黒人系青年たちの姿も。

2015抗議デモ

中道左派の労働者党(PT)の政策への批判もデモでは問われたが、このメッセージでは「左」、「右」には無印で、「前へ」にチェックを入れて、右でも左でもなく、前を向いて前身するのだ、と語る(サンパウロ)。

また、この日のデモは基本的に平和的に行われた。サンパウロの路上では顔面への国旗メイクをスマホに映して確認する人や、串焼肉屋が出店、軍警察官と記念撮影をするデモ参加者たちの姿も報じられた。

2015抗議デモ

抗議デモ2015

2015抗議デモ

(文/麻生雅人、写真/João Alvarez/Fotos Públicas(サルバドール)、Rodrigo Lôbo/Fotos Públicas(ヘシーフィ)、Robson Fernandjes/Fotos Públicas(サンパウロ)、Marcelo Sant Anna/Fotos Públicas(ベロオリゾンチ))