「タイム」誌が選んだ”世界で最も影響力のあるブラジル人” は?

2016年 04月 24日

セルジオ・モーロ判事

アメリカ合衆国の「タイム」誌が毎年発表する「世界で最も影響力のある100人」の2016年版に、現在、ペトロブラスをめぐる贈収賄・資金洗浄事件の捜査を担当するパラナ州連邦地裁のセルジオ・モーロ判事が選ばれたと、現地メディア「G1」が報じた(4月21日づけ)。

2015年版では、プロサーファー、ガブリエウ・メジーナと、投資家ジョルジ・パウロ・レマンという2名のブラジル人が選ばれていたが、今年はモーロ判事1名のみだった。

この恒例となった「世界で最も影響力のある100人」は、「Titans(タイタン)」、「Pioneers(パイオニア)」、「Artists(芸術家)」、「Leaders(指導者)」、「Icons(憧れの象徴)」の5部門に分類されて発表される。

モーロ判事は、米国のオバマ大統領、フランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相、ロシアのプーチン大統領などと一緒に、「Leaders(指導者)」部門に名を連ねたという。

タイム誌は、モーロ判事について「彼は『SuperMoro(スーペル・モーロ)』と呼ばれ、まるでサッカーのスター選手のように、路上で彼の名前が歌われている」と紹介。

また、「モーロは、いち判事という存在であるにもかかわらず、このような大きな贈収賄事件のなかで動き、大統領を止めることすらできるかもしれない。そしておそらく、彼の国の進歩を妨げてきた長い腐敗の文化を変えてくれるだろう」と続けている。

「モーロは、適正な手続きを無視したと非難されてもなお、政治家たちの事件の検証をいとわなかった。そしてほとんどのブラジル国民は、彼の鋭い一撃は、クリーンな国になるためには価値のあるものだと感じている」とテキストは締めくくる。

タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」リストは、ランキング形式ではなく、順位は無い。

モーロ判事や上述した指導者のほか、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏、陸上競技選手のウサイン・ボルト氏、ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオ氏、フランシスコ教皇など、国際的な著名人が含まれている。ちなみに、日本人からは、水玉模様をモチーフにしたアートで知られる芸術家、草間彌生氏が選ばれているという。

最近では、同じくアメリカ合衆国の「フォーチュン」誌が発表した「世界を変革するための最も影響力のある指導者」ランキングで、モーロ判事は13位に選ばれている。

(文/柳田あや、写真/Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)
写真は2015年4月7日、ブラジリア。連邦裁判官協会のブラジリア支部で行われた正義の有効性に関する会議に出席したセルジオ・モーロ判事