ブラジルで給付金詐欺女性が御用

2016年 07月 4日

給付金詐欺 ブラジル

生活保護手当等の公金不正受給が日本でも話題になっているが、ブラジルにも大胆な不正受給者がいるようだ。

グローボ系列のテレビ局「TVモレーナ」(マット・グロッソ・ド・スウ州。以下「MS州」)が7月2日づけで伝えたところによると、MS州都カンポ・グランヂ市で障害者手当の不正受給容疑で逮捕されていた女の衝撃的な映像が公開されたという。

連邦警察が公表した映像は、同市内の社会保険院(INSS)を訪れた女(24歳)が、障害者手当受給の手続きを終えて建物を出たとたん、車いすから立ち上がって、自分の車に向かって歩いているところをとらえている。

女は公金詐取の容疑で連邦警察に連行された。

手当の受給申請の際には、本人がINSSの窓口に出向く必要がある。女は半身不随に見せかけるため、INSSに入る前に車いすを借り、保証金代わりに1900レアル(約6万円)の小切手を車いすレンタル窓口に預けた。

連邦警察は女が障害を偽装しているという告発を受けて女を尾行調査していたが、女はそのことに気づいていなかった。尾行調査2日目、警察は女が自分の家族が経営する店で普通に働いているところと、INSSの受給申請窓口の受付から車いすに乗っているところを撮影している。

「調査担当署員が見たところ、女は家族が経営する商店で身体的に何の支障もなく夫と働いていました。車いすを使う必要など全く感じさせない様子でした」(連邦警察署長、アントニオ・カルロス・クノール氏)

カンポ・グランヂ市はINSSの依頼を受けて調査を開始し、もう一つ映像を入手した。また、容疑者と共謀した弁護士の会話を聞いた証人出てきた。証人は弁護士がだましのテクニックを女に伝授していたのを聞いたという。

INSS給付金申請受付責任者、エヂナ・ヌネス・ゴンサウヴェス氏によれば、不正に受給した場合、不利益は労働者に及ぶという。

「不正受給は労働者福祉の財源に影響します。労働者から徴収し、(労働者福祉を司る)社会保険院に入ったお金から給付金が出ているからです」(ゴンサウヴェス氏)

事前の告発によって警察からマークされていなければ、女は生涯、最低賃金分の給付を受けていた可能性がある。

女は880レアル(約2万8000円)を払って保釈された。女はこれから公金詐取のかどで聴取を受けることになる。最長で懲役5年の刑が言い渡される可能性があるという。

公金詐取のテクニックを伝授していた弁護士も特定され、こちらも聴取の対象となる。

女が逮捕されたのは6月24日。逮捕は連邦警察と労働者社会保険庁が連携して実現した。

INSS医療給付窓口に車いす姿で現れた女は、身体に障害を引き起こす病を抱えていると訴えた。社会保険給付申請窓口から出てきた女が自分の車に向かって歩いているところに連邦警察公金詐取犯罪局の職員が近づき、逮捕に至った。

女の逮捕は社会保険給付申請窓口から匿名の通報があったことで実現した。匿名の通報には映像が添付されており、そこでは女が自分の使う車いすを畳んで車のトランクに積み込むところが写っていたという。

(文/余田庸子、写真/Reprodução/TV Morena)
写真はTVグローボ系TVモレーナのニュースが報じた容疑者女性の映像。TVグローボ系列の番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴の問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで