ブラジル1部のクラブがセレソンを後押し!W杯全出場国の分析に協力。日本の分析担当は…

2017年 11月 5日

ボリビア ブラジル 国際親善試合 ネイマール

ワールドカップ優勝に向けて、ブラジルが本気だ。

前回の2014年のW杯で、自国開催ながら準決勝でドイツに7-1という歴史的な敗北を世界に晒してしまったブラジル代表が、名誉挽回に動いている。

ブラジルの国内リーグ1部(セリエA)に所属する全20クラブの内、フラメンゴを除いた計19クラブが、2018年に開催されるロシアW杯に出場する国の分析を手分けして行い、セレソンを後押しする方針だと現地メディア「グローボ・エスポルチ」が伝えている。

ただし、南米諸国は予選で直接対戦しており分析済みのためか、各クラブの分析担当には含まれない予定とのこと。また、コリンチャンスなど施設やスタッフが充実している8つのクラブは2ヶ国の分析を担当する。

クリスチアーノ・ロナウドのいる欧州王者ポルトガルの分析はサントス、現W杯王者ドイツの分析はサンパウロFCが担当する。

気になる日本の分析は、リオに本拠を置くボタフォーゴが行う。ボタフォーゴは日本と、欧州プレーオフでまだW杯出場が決まっていないイタリア対スウェーデンの勝者の分析担当との兼任となる。

ブラジルというとサッカー大国というイメージはあるが、テクノロジーに秀でた国というイメージを持っている方は多くないかもしれない。しかしブラジル現地でサッカーの指導者をしている筆者から見て、そのようなブラジルサッカーに対する印象はもはや過去のものとする必要があると感じる。

現ブラジル代表監督を務めるチッチは、2012年にコリンチャンスを世界一に導いた名将だ。選手としてはそれほど大成したとは言えないものの、コリンチャンスで世界一になった後も欧州を渡り歩くなど、非常に勉強熱心な姿勢が伺える。
そのチッチ監督もとあるインタビューで「現代のサッカーにおいてテクノロジーの有効利用は避けられない」と述べている。

筆者は現在ECバイーアでインターンコーチとして働いているが、育成年代からの分析担当コーチによるビデオ分析は勿論、GPSの使用によって選手の心拍数や走行距離、スピードも測定する。料理人や栄養士が管理するクラブレストランでは育成年代からの食育で、選手たちの体の成長をサポートしている。そうしたデータをもとに、クラブ内の社会心理士、家族心理士、臨床心理士による精神面のサポートも行われている。

テクノロジーは練習においても、非常に高度な戦術練習に利用されている。

各クラブが代表の分析をサポートするといった組織力やテクノロジーの分野では、文化的には日本の方が得意とするはずであるが、サッカーではどうだろうか。ブラジル代表の取り組みの中には、日本代表やJリーグにとっても参考になる要素はまだまだあるのかも知れない。

(文/平安山良太、写真/Lucas Figueiredo/CBF)
写真は10月5日、ボリビアとの南米予選のネイマール

著者紹介

平安山 良太 Henzan Ryota

平安山 良太 Henzan Ryota
ライター、代理人、通訳。サンパウロ在住。

沖縄県出身。小学生よりサッカーを始めるが、 ケガにより早期挫折。高校時代より指導者の道へ。 日本で中京大学や名古屋グランパスU12でのアシスタントコーチ などを含め、幼稚園~大学生まで幅広く指導者として関わった後、 更なる成長を志し海外へ。

東南アジアのトライアジアプノンペンFC( 現カンボジアンタイガーFC)やラオス代表で研修の後、 ブラジルへ渡る。ブラジル一部リーグのアトレチコ・ パラナエンセ→SCコリンチャンス→Avai FCの下部組織にてアシスタントコーチを歴任。 アルゼンチンのリーベルプレートやペルーのアリアンサ・ リマで研修生の経験も。

2016年現在は再びコリンチャンスにお世話になっている。

公式Twitter (@HenzanRyota) https://twitter.com/ henzanryota
公式Instagram https://www.instagram.com/ ryotahenzan/
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