サンパウロのグアルーリョス国際空港に買収案浮上

2017年 11月 27日

グアルーリョス空港

グローボ系ニュースサイト「G1」が伝えたところによると、今月(11月)17日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビをベースとする政府系ファンド、ムバダラ・インベストメント(以下「ムバダラ」)がグアルーリョス国際空港(以下「GRU」)など交通インフラ管理運営会社を傘下に持つインベパール社の株式を50.1%を上限に取得する意向を表明したという。

交渉が成立すればムバダラはインベパール株式の50.1%を取得し、インベパールが保有するインフラ管理運営事業に対し、絶大な影響力を持つことになる。買収額は非公開。

インベパールは道路、空港、都市交通分野に11の払下げ事業を管理運営する会社を傘下に持つ。物件にはGRUの他、リオでジャネイロの地下鉄を運営するメトロ・リオ社やハポーゾ・タヴァーレス(以下「CART」)、ヴィア040、リトラウ・ノルチ、リオ・テレゾーポリスといった幹線道路管理会社も含む。

ムバダラは政府系企業三社(ブラジル石油公社、ブラジル銀行、ブラジル連邦貯蓄銀行)の年金基金が保有するインベパールの持分を取得するとみられる。

インベパールの上記3年金基金以外の株主はOASインフラエストゥルトゥーラ、BBフンド・ヂ・インベスチメントス・エン・アソィンスの2社。OASインフラエストゥルトゥーラは建設会社を中核とするOASグループの傘下にある。連邦警察による贈収賄捜査、ラヴァ・ジャット(洗車)作戦で同グループが捜査対象に上がったことにより、信用力が低下し資金繰りが悪化していた。

ムバダラは出資にあたって、インベパールが発行する優先株をすべて普通株式に転換するなど多くの条件をつけているとみられる。また、ムバダラの出資は単独ではなく、共同出資者と一緒に行う可能性もあるとのことだ。

「ラヴァ・ジャット作戦の捜査対象となった経験から、インベパールはコーポレート・ガバナンス体制を整え、透明性を確保したことで事業の見通し、財務基盤が整うめどが付けられるようになりました」(インベパール広報)

捜査対象企業のガバナンス、透明性を高めることになったラヴァ・ジャット作戦。インベパールは外資が入ることでさらなる透明性を求められることになると思われる。

(文/原田 侑、写真/Divulgação/Sindifisco)