駐日ブラジル大使館の壁面、ヴィック・ムニースの作品で飾られる

2018年 07月 2日

ビック・ムニース

7月3日(月)、東京・青山にある駐日ブラジル大使館のファザード壁面が、ブラジル出身の現代アート作家ヴィック・ムニースの作品で飾られたことを記念して、除幕式が執り行われた。

駐日ブラジル大使館の正面玄関横にある黄色のファザードはこれまでにも、チチ・フリーク&プレスト、コブラといったブラジルを代表する作家によるウォールアートで飾られてきた。

今回、壁面を飾っているのは、ヴィック・ムニースによる「Pictures of Postcards」シリーズのひとつ「Ipanema」(2015)の一部分だ。「Pictures of Postcards」は、観光地以外にも絵葉書や出版物からとり出した素材をもとに、世界各地の抽象的な景観を再現しているシリーズ。壁画に使われている「Ipanema」も、遠目に見るとイパネマ海岸の景色だが、近くで見ると、海や山やビーチが意外な画像素材で組み立てられていることがわかるというユニークな作品だ。

Vik Muniz(ヴィック・ムニース)は1961年ブラジル、サンパウロで生まれ。現在はニューヨークとリオデジャネイロを拠点に国際的に活躍している。これまでも、砂やチョコレート、砂糖、玩具、廃棄物など、さまざまな素材を使い、”素材とイメージの関係性”を表現してきた。

ごみ廃棄場ので生活するリサイクル品回収業者たちとコラボレーションして制作したシリーズでは、彼らが蒐集したリサイクル品を素材に使い回収業者たち自身の肖像を作り上げた。その制作過程を紹介したドキュメンタリー映画「ごみアートの奇跡」は、多くの映画賞を受賞したほかアカデミー賞ドキュメンタリー部門の優秀賞にも選出された。

(写真・文/麻生雅人)
ヴィック・ムニースのウォールアートを前で除幕式のあいさつを行ったアンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使閣下(左)とヴィック・ムニースの日本でのエージェントでもあるギャラリー nca日動コンテンポラリーアートの塩原将志氏