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ブラジルでヘビの毒から新薬開発

蛇の毒から新薬 ブラジル

毒をもって毒を制す!? ヘビの毒から新薬開発

日本の23倍と広大な国土をもつブラジル。その多様な生態系は、医療・製薬業界からも注目を集め続けている。魚のウロコを使った火傷治療、伝統的なハーブや未知の植物からの新薬開発など話題には事欠かないが、ブラジルは自然の恵みを生かしながら、ライフサイエンス大国の一角を占めつつある。

TVグローボが8月12日、アグリビジネス報道番組「グローボ・フラウ」で伝えたところによると、サンパウロではヘビの毒すらも医学的効能の研究対象になっているという。

ガラガラヘビの毒の研究が始まったのは1990年代初頭で、当初はサンパウロ州立大学(以下「UNESP」)の毒物・有毒動物研究科が主導していた。約27年の研究により、ヘビ毒の効能が明らかになってきたという。

現在新薬に使われているヘビ毒の成分、トロンビンは血液の凝固に作用する酵素。フィブリンシーラント(手術で出血を制御する際などに使われる医療用接着剤)を構成する重要な要素だ。

トロンビン単独では接着剤として機能しないため、治験を行っているUNESPボトゥカトゥ医科キャンパス臨床医療研究科では、水牛の血液から抽出したフィブリノーゲン(血液の凝固にかかわるたんぱく質)を併用している。

37年間慢性創傷に苦しんできた歯科医師のヴェラ・フレッヂさんは治験を受けている一人だ。37年前、足首にできた潰瘍によってヴェラさんの生活は制約を受け続けてきた。常に丈の長い衣類を着用し、毎晩潰瘍の手当てをし続けなくてはならなかった。2016年にUNESPの治験対象者に名乗りを上げるまでに受けた手術は16回、使った包帯は1万7000巻という。

15か月の治験でヴェラさんの傷は順調にふさがり、今では足を隠すことも、包帯でまくこともなく生活している。37年間の不自由から解放されたヴェラさんは、治験を担当した皮膚科医のルシアーナ・アバヂさんに対する感謝の気持ちを何度も口にする。

この新型フィブリンシーラントの研究・開発にはガラガラヘビだけでなく、大量の水牛の血液が必要なため、水牛の確保が欠かせない。牛の飼育は牧場や厩舎、飼料、飼育員等々膨大なリソースを必要とするため、研究機関が水牛の飼育を手掛けるのは現実的には無理だ。

外部の協力者を募ったところ、ヴェラさんと同様に慢性創傷に苦しんだ母を持つ農場経営者、アリスチーデス・パヴァンさんが名乗りを上げた。母のような苦しみを味わう人が一人でも少なくなるように、との気持ちから、農場の水牛と農場の一部をUNESPの研究に提供している。

研究に提供された100頭の水牛は他の家畜から離れた場所で、国際的な医薬品製造基準に適合した厳格な衛生管理の下で飼育されている。月に2回、100頭の牛から採取した血液がUNESPに届けられている。

治験で皮膚の潰瘍が劇的に改善した患者は75%以上に上るという。この結果を受けてプロジェクトは治験段階から商品化を見据えてリソースの確保、設備の拡大に向けて動き出している。UNESPは10年程度で全国の病院での実用化されることを目指しているという。

(文/原田 侑、写真/Reprodução/TV Globo/Globo Rural)
写真はグローボ系列のアグリ情報番組「グローボ・フラウ」より。TVグローボ系列の番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴の問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで)

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