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映画「ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡」公開

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「ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡」は、ブラジルのサンパウロ出身で、ニューヨーク在住の現代アート作家ヴィック・ムニーズが、2007年から2009年にかけて行ったシリーズ作品制作の、企画発案から作品完成後までを追ったドキュメンタリー映画だ。

しかしこれは、単なる記録映画ではない。実にドラマチックな、実にわくわくさせられる、ヴィックと、このアートに関わった全ての人の、冒険譚だ。

チョコレートシロップや砂糖、ケチャップ、ジャム、キャビアなどさまざまな素材を使ってポートレートなどを製作してきたヴィック・ムニーズ。ヴィックの手にかかるとどんな素材でも、美しいアートに変容する。この変容、変革こそが、ヴィックのアートの醍醐味だ。

彼が今回、素材として選んだのは、ごみ集積場に捨てられたモノたち。作品制作の素材を求めて、南米最大のごみ集積所ジャルジン・グラマーショへと向かう。

芸術家として成功するずっと以前、ヴィックはサンパウロで決して恵まれているとはいえない環境で生まれ育った。スーパーマーケットでは、回収を終えたゴミ収集車が残した肉類など生ゴミの処理や清掃をしていたこともあるという。

だが、そんなヴィックでも、社会から隔離された存在となっているごみ集積所ジャルジン・グラマーショのことは、存在は知っていても、それがどんな場所で、そこにどんな人々が働いているのか、まったくわからない。

衛星写真を見て「危険な場所では? 衛生面は?」と問う妻(当時の?)のジャナイーナにヴィックは答える。

「衛星写真だけでは何もわからない。自分の目で見て確かめてみないと」

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ごみ集積所を訪ねて、ヴィックははじめて、カタドールと呼ばれるリサイクルのためのごみ収集人たちを知る。どんな立場の人たちが、どんな事情でここで暮らし、働いているのか。

いかに彼らが誇りを持って働いているか。

何よりもヴィックの心を動かしたのは(映画を観る観客も、もちろん同じことを思うだろう)、カタドールたち、一人ひとりが実に個性豊かで、各々のドラマを持っていて、一所懸命生きている、ということだ。

カタドールたちとの出会いが作品のコンセプトを生み、カタドールたちとの共同作業によって、ヴィックの製作がスタートする。ヴィックは完成後、この作品をロンドンの美術オークションに出品して、もし売れたら収益は全てカタドールたちに分配するという。

果たして作品の行方は? 以下、制作過程や完成後の様子、このアート作品が「何を」生むのかを、映画は追っていく。

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これまでヴィックは砂糖やチョコレートシロップなどの「素材」を、まったく異なるものに変容させてきた。

今回、ヴィックの製作の素材となったのはリサイクル用のごみだけではない。作品のモデルでもあり共同製作者でもあるカタドールたち、彼らの人生もまた、このシリーズ作品の「素材」の一部である。

アートにおける素材の変容、というテーマも、この映画をドラマチックにしている大きな要因だ。

繰り返しになるが、これは単なる記録映画ではない。実にドラマチックな、実にわくわくさせられる、ヴィックと、このアートに関わった全ての人の、冒険譚だ。

「ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡」

http://gomiart.net/

2013年7月20日(土)ユーロスペースにてロードショー

(写真/「ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡」(c)Vik Muniz Studio/kenjisekine)
(文/麻生雅人)

http://gomiart.net/

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