サンバのダンスは、美しいプロポーション作りに効果があるか!?

2013年 10月 11日

ハイサヂオリヴェイラ

リオデジャネイロのサンバチームのひとつBeija-Flor de Nilópolis ベイジャフロール・ヂ・ニロポリスのRainha da Bateria ハイーニャ・ダ・バテリア(打楽器隊の女王)Raíssa de Oliveira ハイッサ・ヂ・オリヴェイラ(1990年生まれ、写真)がメディアで注目を集めつつある。テレビの子供ダンサーコンテストで注目を集めた後、2003年に12歳でベイジャ・フロールの“打楽器隊の女王”の座に輝いたことで話題になった彼女も、今年で22歳。2014年はグラビアなどで人気を博すのでは? とみられているようだ。

ブラジルのサンバカーニバルで目立つサンバダンサーは何人もいるが、その中でもなぜ彼女に注目が集まるのだろう? 彼女のことを考えながら、そもそも、何がサンバダンサーを作り上げるのか、思いをめぐらせてみた。

まずは、肉体美、踊り、衣装。この3つが揃わないとサンバダンサーの美学は語れないだろう。

1番目の「肉体美」に関しては、一番のポイントはお尻だろう。伝統的にサンバダンサーをしていると、くびれを作り、お尻が大きく見えるようになるのかも。

サンバを教える人が体幹(インナーマッスル)を鍛えるコアトレーニングをさせたり、腰の使い方を指導する、という話を聞いたことがある。コアを鍛えること で、身体のつくりを意識できるようになり、日常においてもバランスの取れた動きができるというのだが、この理論は、中国の太極拳にも通じている。

2番目の「踊り」は、「肉体美」とも密接に関係していると思う。体の中心を使って踊っているということは、踊りが安定していなければならないので、下半身に筋肉がつくのも必然なのではなかろうか(ハイヒールを履いて、膝を曲げながら、ステップを刻みながら進んでいくのは、 実際にやってみると大変なことが解かる)。

技巧的には覚えるべきステップもいろいろあるだろうが、ステップの習得は最低必要条件ではない。サンバダンスの基本は、やはり足や腰。下半身の動きを基本に、ほとんど即興で踊っている。いくら華麗なステップを習得しても、下半身が鍛えられていなければバランスを壊して安定した踊りを続けられないだろう。

最後に3番目の「衣装」。多くの人々がサンバカーニバルに惹かれる理由のひとつに、セクシーで大胆な衣装があることは間違いないだろう。

で、カーニバルでも使われる、タンガの歴史について。それはブラジルビキニの歴史~Tバックの歴史でもある。
タンガはもともと、ブラジルの先住民の民族衣装から生まれたと考えられている。

リオデジャネイロ・カトリック大学服飾デザイン学科講師のジウダ・シャタニエさんによると、タンガの誕生はブラジル「発見」の頃までさかのぼるという。それまで裸で生活していた先住民族に、イエズス会宣教師たちが何か身に纏うように「教化」したところ、先住民族たちは「漁獲網やハンモック用に使っていた(中略)繊維をつむいで、“タンガ”を作るようになった」という。言われたからしぶしぶ何か身に着けることにしたけど最小限だった、ということのようだ。

リオのカーニバルにおいては、エスコーラ・ヂ・サンバが登場する以前はブロコと呼ばれるグループが思い思いの仮装するスタイル。タンガが取り入られるようになったのは、カーニバルの衣装に先住民族の文化を取り入れるようになってからのこと。それが発展して、羽を背負い、露出度の高い民族衣装のタンガを身にまとって踊るダンサーが登場したようだ。

ハイッサのプロポーション、とくに、ミス・ブンブンにも負けないお尻が作り上げられるのに、サンバが影響していることは、まず間違いないだろう。

(文/加藤元庸、写真/LatinContent/Getty Images)