ブラジルで、Facebookで“魔女”と噂された女性がリンチにあい殺害される

2014年 05月 13日

Facebookで「子どもをさらって黒魔術を行っている」という噂が建てられた女性がリンチにあい殺害されるという事件が現地メディア「G1」(5月6日~12日付け、電子版)などで報じられている。

リンチが起きたのは5月3日(土)で、犠牲となったのはグアルジャーに住むFabiane Maria de Jesus ファビアーニ・マリア・ヂ・ジェズース(33)さん。サントアマーロ病院に入院していたが、5日(月)に息をひきとったという。

リンチを行ったとされているのはモヒーニョス地区の住民たち。Facebook上にある地元のローカルニュースを伝えるページ「Guarujá Alerta グアルジャー・アレルタ」に、子どもをさらって黒魔術を行っているとされている女性の写真が掲載され、写真がファビアーニさんによく似ていたことから、この惨劇が起きた。現在。同ページから写真は削除されている。

軍警察が現場にかけつけたが、ファビアーニさんは手足を縛られた上、ひきずられ暴行を受け、頭部を強打されていたという。暴行を行っていたグループのほとんどは警察が来た時点で逃走した。

ファビアーニさんをよく知るという地元住民のひとりは、ファビアーニさんは少し精神を病んでいたが人に危害を加える人ではないと語っている。ファビアーニさんは結婚しており、Yasmin ヤスミン(12)とEsterエステル(1)というふたりの子供の母親だった。

5月10日(土)にはファビアーニさんの葬式が行われ、約300名が参列した。参列者の何人かは、ファビアーニさんの顔写真と「ファビアーニ、無実の痛み」と書かれたTシャツを着ていたという。葬式には家族も参列していた。

ファビアーニさんの夫は「彼女はコミュニティの皆に愛されていました。今は、犯人たちをものすごく恨んでいるわけではありません。ただ、妻がリンチにあっているときに見て見ぬふりをして人が大勢いたようです。今後、誰かが襲われている時には、見て見ぬふりをしないでほしい」と語った。

5月11日(日)には、ファビアーニさんの追悼行進がモヒーニョ地区で1時間ほどおこなわれ、約100名が参加した。家族、友人たちはファビアーニさんの顔写真が入ったTシャツを着て、ファビアーニさんが好んでいた讃美歌を歌いながら更新した。

ファビアーニさんの母親Raimunda Maria de Jesus ハイムンダ・マリア・ヂ・ジェズースさんは、自分の母親はすでに他界しており、今回娘のファビアーニさんが殺され、一人ぼっちになってしまったと嘆いた。

(文/麻生雅人)