ブラジルW杯 ブラジル国民は納得しているのか?非常に違和感を感じるW杯の試合開始時間!

2014年 07月 3日

美女サポーター メキシコ

いよいよベスト8が出揃った。FIFAワールドカップブラジル大会は佳境に入っている。

決勝トーナメント1回戦8試合は、5試合が延長戦に入るなど、かなり拮抗したものとなり、また各グループリーグ1位が進出するという、実力チームが勝ちあがる見応えある戦いだったと思う。

次の準々決勝4試合は、日本時間では深夜および早朝ではあるが週末(土日)に行われるので、サラリーマンにとってもすべて見れる時間にやってくれる。今から非常に楽しみである。

しかし、日本時間では土日に当たるが、現地ブラジルでは、金曜と土曜の午後に行われることになる。試合時間は、それぞれ13時と17時開始である。これは決していい時間帯だとは思えない。

今回は、ブラジルW杯の試合開始時間について述べてみたいと思う。

今回のW杯の試合開始時間については、かなり違和感を感じてしまう。

グループリーグで一日3試合行う日については、現地時間で13時、16時、18時(一部19時)開始、2試合開催の場合は、13時、17時開始である。

なぜ、こんな真昼間にやるのだろうか?

通常、ブラジルでのサッカー観戦は、夜バール(居酒屋のようなもの)に集まり、ビールを飲みながら皆でわいわいがやがやとTV観戦するというのが一般的である。

ブラジル国内リーグでは、平日だったら19時30分か21時50分開始で、週末(土日)の場合は16時か18時30分開始が一般的である。

これに当てはまるのは決勝戦(日曜日の16時開始)だけである。ちょっと近いのは、日本の初戦のコートジボアール戦(土曜日だが22時開始)である。

もしW杯期間中、ブラジル全体が毎日休日になるのなら、どんな時間に試合をやっても見ることができるのでそれでもいいのかもしれないが、毎日休日にはならない。また、今回のW杯ではブラジル戦の試合がある日でも休日にはなっていない。

昨年のコンフェデ杯のときはブラジル戦の日は休日にしていたので、それと同様に休日になるのかと思いきや、商店の売り上げが減るとかの理由で、休日にはなっていないのだ。ということで、W杯期間、特別に休日になる日などまったくないのである。

ただし、ブラジル戦のある日は、通常のW杯と同様に、ブラジル戦の時間帯に合わせその2~3時間前からほとんどの企業は営業を停止し、国民たちもブラジル戦を自宅やバールで観戦することになる。だから、ブラジル人たちは自国の試合は見ることができる。しかし、ブラジル戦以外は見ることが非常に難しい。

W杯の醍醐味は、自国を応援することもあるが、それ以上に世界の最高レベルの試合を見続けることができることでもあると思う。

2002年の日韓共催大会のとき、私は毎日世界最高峰の試合をTV観戦することができ、W杯の楽しさを思う存分に味わった。

このときの私のように、自国で開催されて、平日でも仕事から帰ってきて毎晩高レベルな試合を見れたことがきっかけで、今まで以上にサッカーが好きになったということもあるので、自国開催の国民のためにも、また選手にとってももっともいい時間帯で試合をやってほしいと思ってしまう。

2002年のときの試合開始時間は、15時30分、18時15分、20時30分だったので、私などは平日でも毎晩2試合ずつ見ることができ、W杯の醍醐味を十分に味わうことができた。

今回の時間帯はどうだろうか?

思うに、ヨーロッパ諸国のTV中継にもっともよい時間ではないのだろうか?

ブラジルとヨーロッパ主要諸国との時差は一部違う国もあるがほとんどの主要国の場合4時間である。そうなると、ヨーロッパ諸国では、3試合開催の場合、17時、20時、22時(一部23時)となり、2試合開催の場合は、17時、21時となる。これは、まさにゴールデンタイムに当たることになる。

また、違った意味でひときわ異彩を放っているのが、日本の初戦の22時開始である。22時に開始されるのはこの試合だけである。他はどんなに遅くても19時開始である。この試合、日本時間では日曜日の午前10時開始となり、日本で見る人にとっては、かなりよい時間帯である。

これについてもTVの力だろうか? それも日本のTVの・・・。

以前、2008年の北京オリンピックの競泳の決勝が午前中に行われたことがあった。通常競泳の決勝は夜やるものである。このときもTV中継優先のため、現地では変な時間帯に行われたのだった。

実際の事情はほかにもあるのかもしれないが、違和感を感じざるを得ない今回のW杯の試合開始時間なのである。

(文/コウトク、写真/Getty Images)
写真は6月29日、リオデジャネイロのファンフェスト会場のサポーター。メキシコ対オランダの試合は29日の日曜日に行われたが、試合開始は炎天下の午後1時。試合中に給水タイムが設けられた

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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