ブラジル中央銀行、政策金利を0.25%引き上げ。インフレ抑制が狙いか

2014年 10月 30日

ブラジル中央銀行

ジウマ大統領が再選を果たした日後の(10月)29日、中央銀行(BC)で通貨政策委員会(Copom)が市場の予想を裏切り、経済基本金利(Selic)を0.25%引き上げて年11.25%とすることを発表した。

予期せぬ金利引き上げは、インフレを年間目標の上限(6.5%)になんとかとどめたいという要因や、ドル高傾向が強まったことが理由と見られている。30日付伯字紙が報じている。

29日のCopomでのSelic引き上げは満場一致で決まったものではなかった。0.25%の上昇を支持したのは8人いる委員のうち5人で、その中にはアレッシャンドレ・トンビニBC総裁の名も含まれていた。

この決定は経済の専門家を驚かせた。

市場の大半の見方では、今回のCopomでSelicが上がることはないと見ていたからだ。29日付フォーリャ紙の観測では、「今回、Selicがあがることはまずないが、為替の不安定な状況と基礎収支の赤字から燃料代の値上が予想され、インフレが懸念されるため、12月のCopomでの引き上げはありえるだろう」と見ていた。

これでSelicは、11.50%を記録した11年11月以来、3年ぶりの高い数値を記録した。

それは奇しくも、選挙キャンペーン中に対抗のアエシオ・ネーヴェス氏のことを「中銀の独立性を唱え、Selicをあげることでインフレ解消をしようとする」と揶揄していたジウマ氏が、大統領に当選して3日後の決断だった。

今回のBCの決定は、インフレ抑制を含めたBCの政治的な信頼性の回復を狙ったものと見られている。直近12カ月間の累積インフレは、9月の時点で6.75%を記録。14年度の年間インフレ率が上限の6.5%以内に収まるかは微妙な状況にある。

BCとしては、現在Selicを上げることで、15年から16年に向けたインフレ圧力を軽減し、本来のインフレ目標である4.5%に向かわせたい思惑もある。

それに加え、ドル高傾向が強くなっているのもBCとしては気がかりな点だった。以前から、ジウマ氏に当選の予想が立つとドル高が進む傾向が強かったが、当選後のドルは1ドル=2.52レアルまで上昇した。

為替はその後やや落ち着き、30日の予想は1ドル=2.45レアル程度と見られているが、これはBCの最新予想であげていた1ドル=2.25レアルを10%上回る。

また、そのドル高状況に追い討ちをかけるように、29日、米国の中銀にあたる連邦準備制度(FED)が量的緩和政策の終了を発表した。10月の量的緩和政策終了は既に予想されていたことではあったが、米国では今後、利上げも予想されており、新興国におけるドル高傾向はさらに強まるものと見られる。

連邦政府は来週にも、現在赤字となっている基礎収支を改善し、国内外の信頼を取り戻すべく、支出の削減などの財政案を発表する見込みだ。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Banco Central do Brasil)