ブラジリアでは2015年のサンバカーニバルが中止!? 資金不足で予算つかず

2015年 01月 13日

ブラジリアのカーニバル事情

首都ブラジリアがある連邦直轄区。地元の各エスコーラ・ジ・サンバ(サンバの団体)が利用している倉庫には、カーニバルのパレードのために準備された衣裳が積み重ねられている。

しかし今年、これらの衣裳は、使われることがないかもしれない…。

ブラジリアのカーニバル事情

1月7日(水)に連邦直轄区政府が資金不足を理由にカーニバルのパレードの中止を公表したとき、会場となるストリートを除き、カーニバルの準備はほぼ整っていた。

同地域にあるエスコーラ・ジ・サンバ21団体は、2014年、パレードの準備のために635万ヘアイスを申請しているが、1センターボも受け取っていない。今日、政府は35億ヘアイス以上の赤字を抱えている。

ジェオマール・レイチ ブラジリアのカーニバル組合

「しかし我々エスコーラ・ジ・サンバはまだあきらめていません。今なお作業を続けています。私たちは必要とあらば、カーニバルを維持するために司法の判断を求めます」と、連邦直轄区のエスコーラ・ジ・サンバ及びブロコ連合のジェオマール・レイチ代表(写真上)は語る。

レイチ氏によると、州政府は企業と対話してスポンサーを探すために48時間の猶予を申し出たという。その中でひとつの代替案として、パレードの開催を1日だけにして賞金をなくすという、規模を縮小して開催する案を政府が出しているという。

ブラジリアのサンバカーニバル事情

パレードをキャンセルするニュースは驚きだった。エスコーラ・ジ・サンバの各団体は、(パレードの)実行を約束していたアギネロ・ケイロス前知事に、2014年にすでに予算を計上していた。分割で支払われる最初の予算は10月に支払われているはずだった。

今年発足した州政府の新政権は、予算の20%削減を求め、各団体は22.6%の経費削減でやりくりしていた。

「問題は解決したと思われました。皆が作業を続ける希望が与えられました。しかし、今、我々の中には半年も無報酬の人もいます」(ジェオマール・レイチ代表)

(パレードの準備の)作業は7月に始まった。スタッフの中には衣裳を仕立てるためにリオデジャネイロからやってきた人もいる。材料はリオとサンパウロの店でクレジットで仕入れている。レイチ氏によると負債は200万ヘアイスになるという。

カシア・ヘジーナ・ジアス

リオ出身のカッシア・ヘナート・ジアスさん(38、写真上)は3年間グランジリオのカーニバルに関わり、初めてブラジリアで働いている裁縫師。

「困惑しています。わかります? 石鹸ひとつ買うことができないのです。リオではそんなことはありえません。カーニバルで1年働き続けます」(カッシア・ヘナート・ジアスさん)

エスコーラ・ジ・サンバによる資金調達は連邦直轄区のカーニバル法(法令4.738/2011号)に基づいている。同法では、カーニバルは連邦直轄区政府によって管理され、財政的サポートも受けて運営されるべきであり、政府はそのためのインフラを提供し、公的支援を行い、イベントを開催するのに必要な情報を開示するもの、としている。

ブラジリアのカーニバル事情

15年間、同地域のカーニバルに関わって来た信奉者シジネイ・ヴァウドさん(写真上)は憤る。

「文化予算はどこへ行った? しわ寄せがすべてカーニバルに来るのは承服しかねる。安全、健康、教育など各分野はそれぞれの予算を持っていて、それぞれがその恩恵にあずかっている」(シジネイ・ヴァウドさん)

ジャイミ・ヘセーナ連邦直轄区観光局長は1月9日(金)、数名の企業家と話し、予算の調達に興味を示している人たちがいて合意をすり合わせたという。同局は公式にサポートが可能なスポンサーについての計画を調整している。パレードを例年通りに開催した場合1200万ヘアイスが必要となる。連邦直轄区政府による代替案のカーニバルの予算はまだ提示されていない。

ブラジリアのサンバカーニバル事情

小道具も準備され、行進の歌や演奏の練習も行われ、16万7千ヘアイスを費やしているエスコーラ・ジ・サンバのひとつインペリオ・ダ・グアラーのマリオ・アントニオ・ジ・オリヴェイラ・サントス代表(写真上)は、同地域のカーニヴァル参加者の願いを、アウシオーニの歌になぞらえて「サンバを死なせてはいけない」と語った。

(記事提供/Agência Brasil、写真/Wilson Dias/Agência Brasil)