八王子のブラジル・ダイニング「ノッサ」

2015年 10月 27日

八王子 ブラジルダイニング ノッサ

八王子初という触れ込みで2014年5月にオープンしたブラジル・ダイニング「NóssA(ノッサ)」。同地域で暮らすブラジル人やサッカーファンなどに親しまれて1年以上が経った。

店のオーナー、杉本浩司さんの本職は、アパマンショップの加盟店でもある不動産会社の社長。杉本さんの個人的なブラジルとサッカーへの想いから「ノッサ」は誕生した。

「ブラジルとの出会いは20年くらい前。サッカー留学で3年ほどブラジルに滞在していたときに、すっかりブラジルに魅せられました」(杉本浩司さん)

八王子 ブラジルダイニング ノッサ

帰国後、サッカー選手を目指したが、残念ながらこの夢は実現しなかった。杉本さんはサッカー選手の夢とブラジルへの想いを封印して、不動産の事業に専念。事業は成功して、杉本さんが代表を務める不動産会社エスエストラストは、八王子地域で管理戸数・店舗ともにナンバーワンの実績を誇るほどになった。

ところが、この不動産業が再び杉本さんを再びブラジルに近づけることに。

「2年ほど前、提携先の企業が不動産業でブラジルに進出する計画を立てたことがあり、そのとき、昔ブラジルに住んでいたという経歴があったので視察に同行したんです。これでブラジルへの熱い想いが蘇ってしまいました」(杉本浩司さん)

時を同じくして杉本さんは、ブラジル料理の店を出したいと考えていた日系ブラジル人のマダレーナさん、ビゴージこと野口さんらと出会った。

「じゃあ一緒にやろうか、ということになって。物件を探すのは自分で担当して。お金はあまりかけられなかったので、内装などは仲間で手分けして改装しました」(杉本浩司さん)

八王子 ブラジルダイニング ノッサ

カウンター席が中心のバー形式の店「ノッサ」は、マダレーナさんが作るブラジルの家庭料理や、サッカー観戦できるスクリーンも売りとなった。だがこの店を開いたことで、思わぬ交友の輪が広がった。それまでまったく交流のなかった、八王子在住のブラジル人が店を訪れるようになったのだ。

「15年近くこの町で不動産業を営んでいたのに、地元にブラジル人の人たちが住んでいることを全然知らなかった。勤務先の寮で暮らしている人が多いので不動産屋には縁がなかったんでしょうね。この町にブラジル人がこんなに住んでいたんだってわかったこともうれしかったし、彼らが集まってくれるのもうれしかった」(杉本浩司さん)

人が”集まる”場、というのは、「ノッサ」の基本理念だった。

「ブラジルでは、いつも家族や親戚、仲間が集まって食卓を囲んだり、休みの日を過ごしたりして、そんなライフスタイルっていいなとと思っていました。この町にそんな場所を作りたいと思ったのが、『ノッサ』を作った理由でした」(杉本浩司さん)

「ノッサ」には、杉本さんがブラジルで学んだ、家族や仲間はもちろん、人と人とのつながりがを大事にするという生き方が反映されている。そしてこの理念は、この町で生まれ育ち、生活するひとたちが自分の町を愛して、ここに住みたいという人が増えるような町づくりに役立ちたいという、不動産業で杉本さんが抱く想いとも通じているのだろう。

ブラジルダイニング「NóssA(ノッサ)」
八王子市三崎町 6-8
TEL:042-621-6606
営業時間:18:00~24:00
定休日:日曜、祝日
アクセス:JR八王子駅北口より徒歩5分
http://nossa-brasil.com/

(写真・文/麻生雅人)