国際親善試合、日本がブラジルに完敗。ブラジルは3トップ大活躍

2016年 07月 31日

ブラジル代表 国際親善試合 日本 ゴイアニア

7月30日(土)、ブラジルのゴイアニアでサッカー男子、日本代表とブラジル代表の国際親善試合が行われた。これほど楽しみな試合は本当に久しぶり、というぐらい楽しみな試合だった。

ここ数年、ブラジル代表と日本代表は毎年といっていいぐらいに親善試合をやっているが、リオデジャネイロ・オリンピックを戦う上で両チームにとってもっとも大事な時期に、このカードを組んでくれたことにまずは感謝したい。

日本代表もブラジル代表も応援したい筆者にとっては、日本対ブラジル戦は、興味の矛先は勝敗よりも純粋に試合運びそのものと各選手の動きとなる。

まずはブラジル代表サイドからの視点で試合結果をながめてみよう。

世界中が注目するネイマール(バルセロナ)と、ふたりのガブリエウ…ガビゴウことガブリエウ・バルボーザ(サントス)とガブリエウ・ジェズス(パウメイラス)の3トップ、そして筆者が注目するフェリペ・アンデルソン(ラツィオ)が揃って先発してくれた。

先のコパアメリカのメンバーでもあったCBのマルキーニョス(パリ・サンジェルマン)、ボランチのラフィーニャ(バルセロナ)を除けば、あとはブラジル国内組で固めていた。

両チームどのような試合の入り方をするか注目していたが、開始早々から完全にブラジルのペースになった。

最近のブラジルのフル代表はパッとしていなかったが、このリオ五輪代表チームは試合開始早々から冴えまくっていた。魅せてくれた。

ネイマールを中心とした強力3トップが前線で流動的に動き回り、その1列後ろに構えるフェリペ・アンデルソンが効果的にボールに触り、相当に分厚い攻撃をつくっていた。

日本はほとんどゲームをさせてもらえない展開が続いた。

そんな中、給水タイム明けの前半33分に、ガビゴウがゴール前で抜け出し、ほぼフリーの状態で打ち抜いた球がきれいにゴールマウスに入っていった。これはCB植田の体に当たっていたが、完全にガビゴウのゴールだ。さすがのガビゴウ。魅せてくれた。

その後、ネイマールのCKからCBマルキーニョスがきれいにヘッドで決めて、前半は2-0のブラジルリードで折り返した。前半、日本の見せ場はまったくといっていいほどなく、シュートゼロで終わった。

後半は、メンバーを若干いじったこともあり、ブラジルも前半ほどの冴えは見られず、日本もいくつかシュートまで持ち込めるシーンもあった。しかし、終始ブラジルの方が上手だった。

ブラジル代表にとって前半が想定しているベストメンバーでの最終テストなら、後半は、いろいろなメンバーを試すといった感じだった。

そのまま2-0でブラジルが勝利した。

ブラジル代表に関してだが、この試合を見てホッとした、というところが正直なところだった。

コパアメリカで失敗したブラジルだったが、五輪代表チームは楽しみな布陣だと思っていた。期待していた通り、強力3トップは、それぞれがプレーで魅せてくれたし、フェリペ・アンデルソンが思った以上によかった。ネイマールも自我をそれほど出す感じでもなく、Wガブリエウをはじめチームメート達をうまく引き出している感じを受けた。

そして、両ボランチであるラフィーニャとチアゴ・マイヤ(サントス)の守備と攻撃のバランスがよく、適宜に攻撃に絡み、分厚い攻撃を組み立てていた。

ただ、対戦相手が日本だっただけに真の実力は計れないと思った。日本代表もフル代表ならある程度の実力がわかるが、今回の五輪代表チームの実力は未知数だったからだ。

また、特に前半、いくつも決定的なシーンがあったにもかかわらず、決めきれていなかった。これは課題だろう。

しかし、先のコパアメリカで見たフル代表よりこのチームのほうがいいのではないか、と思わせるぐらい魅力的なサッカーをしてくれていた。特に前半のサッカーは久々に見ていてわくわくさせてくれた。

さて、一方の日本はどうだったのだろうか。

相手にネイマールはいるが最近のブラジルはまったく結果が出ていないので、かなりいい戦いができると思ってこの試合に臨んでいたはずだ。

後半多少見せ場はあったが、完敗といっていいだろう。

采配にも疑問を感じた。バックアップメンバーを試すことも長い将来を考えると悪くないことかもしれない。しかし、リオ五輪に出ないメンバーを試してどうするのだろうか。今は直後にひかえている大一番のリオ五輪本番を見据えた戦いをするべきではないだろうか。

ネイマール、そして将来の世界的スターになるだろうWガブリエウと同じピッチで戦ったという事実は得ることができたが、日本にとってこの試合が最終テストマッチとしてふさわしい戦いができたかどうかは疑問だ。

とはいっても、日本にも当然頑張ってほしい。このチームはアジア予選で見せたしぶとさが身上だと思うので、リオ五輪本番ではやってくれると信じている。

早いもので、リオ五輪本番まであと5日だ。

ブラジル、日本ともにすばらしい戦いをみせてほしいと思う。そして、ブラジルには、世界中にこれぞブラジルサッカーだ、というところを魅せてほしいと切に願う。

(文/コウトク、写真/ Assessoria CBF)
写真は7月28日、日本との国際親善試合に向けてゴイアニアでトレーニングを行うブラジル代表

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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