オリンピック・パラリンピック開催地リオデジャネイロ案内4コルコバードの丘、キリスト像と登山鉄道

2016年 08月 9日

キリスト像 リオ

リオデジャネイロの象徴ともいえるキリスト像(Cristo Redentor=救世主キリスト)ができたのは、今から84年前の1931年のことでした。

1920年にリオのカトリック団体が、信仰の象徴となるモニュメントを作る運動を始め、寄付や署名を集めました。キリスト教の象徴でもある十字架をモチーフにして両腕を広げたキリスト像を建設することに決まり、1922年から建設がはじめられています。

9年の歳月を経てキリスト像は1931年10月に完成しています。710メートルあるコルコバードの丘の上に立つ38メートルの像は、リオデジャネイロ市内の至る所からその姿を見ることができ、まさにリオの象徴にふさわしい存在感を有しています。2012年には、キリスト像を含めたリオデジャネイロの景観がユネスコの世界遺産に登録されています(山と海との間のカリオカの景観群)。

ところで、キリスト像があるコルコバードの丘を登るのにもっともよく利用されているのが登山鉄道ですが、実はこの鉄道、コルコバードの丘にキリスト像が立つ1931年よりも50年近く前から走っていました。

登山鉄道は、1884年にブラジル皇帝のドン・ペドロ二世によって建設されています。当初は蒸気機関車でしたが、1910年に電気式に代わり、1979年にスイス式の近代的なモデルに変更されています。

コルコバード 丘 登山鉄道

この登山鉄道は、ブラジルで最初にできた電気式の鉄道でもあります。キリスト像の建設に際しては、材料を運ぶのにこの鉄道が利用されたそうです。

登山列車に乗る場合、3つの注意事項があります。

1)予約した時間の30分前に到着しなければならない。
2)予約した時間を過ぎると払い戻しも時間の変更も受け付けてくれない。
3)IDカードを持っていく必要がある。

インターネットでチケットを購入している場合でも、現地で紙のチケットと交換する必要があります。混雑している時期にはチケット交換のために時間がかかる場合があるので、予約した30分前に到着している必要があるとのことです。いずれにしろ、登山列車の発車時刻は厳格なほうなので、余裕をもって到着しておくのが無難です。

さて、この登山列車ですが、座席は正面に向かって左側が進行方向、右側が逆向きになっていました。乗っている間はほとんど森の中を走るので、どちら側に座ってもあまり景色に変化はありません。向かって右側の席からは途中、リオデジャネイロ市内が見えるのですが、コルコバードの丘の頂上から見る景色の方が素晴らしいので、あまりこだわる必要はないと思います。

いざ、丘の上に到着すると…コルコバードの丘は標高710メートルです。麓よりも気温が低く、風も吹いていることがあります。地上では薄着で良くても丘の頂上に行くと肌寒く感じる場合があるかもしれません。防寒対策はしておいたほうがいいかもしれません。

(写真・文/唐木真吾)

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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