元大富豪アイキ・バチスタ氏捜査にインターポールも乗り出す

2017年 01月 29日

アイキ・バチスタ 逃亡 ブラジル

ヘナート・シェバール氏がラヴァ・ジャット作戦の捜査員に対して行った証言では、カブラウ前リオ州知事とこの件で話し合ったのは2011年、ニューヨークのホテル・セイント・レジスだったという。シェバール氏は証言の際、株式売買の記録を連邦公共省の検察に提出した。

シェバール兄弟の証言記録によれば、当時のカブラウ氏のアドバイザー、カルロス・ミランダ氏、当時のリオ州書記官ウィウソン・カルロス氏は2010年、バチスタ氏からカブラウ氏への賄賂を「洗浄」する方法を求めて兄弟を探し当てたという。

兄弟は送金の目的については正確には知らなかったが、自分たちも含め、バチスタ氏に近い人物を含めたスキーム関係者のそれぞれの役割などといった当時の状況については詳細に語った。

バチスタ氏に近い人物には、サッカーチーム、フラメンゴのバイスプレジデントで26日逮捕されたフラヴィオ・ゴヂーニョ氏も含まれていた。

連邦公共省は、センテニアウ・アセット・マイニング・ファンドLLC(バチスタ氏が出資・保有)とアルカディア・アソシアードス(シェバール兄弟が出資・保有)の2社は、2011年の取引を合法的に見せるため、まず、鉱山採掘権売買の仲介を名目とした12億レアル(約432億円)の偽装契約を結んだ、と指摘した。

シェバール兄弟は、センテニアウ社の子会社ゴールデン・ロック社がオフショア口座を持っているパナマのTAG銀行に口座をなかなか開けなかったため、ウルグアイのウインターボッサム銀行に口座を開くことになった。

当時、兄弟はゴールデン・ロック社に依頼を出しているのが誰か特定できていなかったが、カブラウ氏の指示に基づき、ゴールデン・ロック社がアメリカ合衆国の証券市場で株式を取得していたのだろうと語った。

マルセロ・シェバール氏の証言によると、株を売買したのが誰かは明確ではなかったが、ウルグアイのウィンターボッサム銀行にあるアルカディア社の口座に株式が入庫されてきたという。

証拠集めと並行して、ラヴァ・ジャット作戦特別チームはバチスタ氏を証人として呼んだが、カブラウ前リオ州知事への贈賄を否定した。そのため、連邦公共省検察チームはカブラウ・ルートの贈賄スキームに関する捜査を進めつつ、リオデジャネイロ連邦裁判所第7法廷のマルセロ・ブレッタス判事にバチスタ氏等の容疑者の身柄拘束命令の請求を出した。これが実現し、ラヴァ・ジャット作戦は新フェーズ、「エフィシエンシア」に突入した。

(文/原田 侑、写真/ Marcello Casal Jr/Agência Brasil)
写真は2015年11月、ブラジリア。国立経済社会開発銀行(BNDES)に関する不正疑惑で聴取を受けたアイキ・バチスタ氏