ブラジル政府、食肉業界調査に関するプロジェクトチームを編成

2017年 03月 19日

ブラジル 食肉偽装

連邦警察による「カルニ・フラカ作戦」部隊の報告から一夜が明けて、ブラジル国内では警察の報告を冷静に、客観的に裏付けようとする動きが出てきたようだ。

TVグローボが3月18日(土)、番組「ジョルナル・ナシオナウ」が報じたところによると、食肉業界と政界の贈収賄疑惑だけでなく、食肉偽装について連邦警察から出された報告について、ブラジル連邦政府が調査のためのプロジェクトチームを組成して吟味していくこととなったという。

農牧供給省内では専門家たちが警察のカルニ・フラカ作戦における捜査資料を吟味し始めた。同省のクリチバ支部職員は書類を精査しているが、3月17日に操業停止命令が下った冷凍食品加工場3か所の不正を立証しうるだけの資料はまだみつかっていない。

農牧供給省のエウマール・ノヴァッキ事務次官は、農牧供給省は捜査に協力を惜しまないとしながらも、連邦警察は限られた範囲で起こっている問題に対して騒ぎを大きくしているとの認識を示した。それに対して連邦警察はコメントを控えた。

今回、調査対象になった食肉加工場は約5000か所あったが、そのうち偽装や汚職の疑惑で捜査対象となったのは20社余り(0.44%)で、処分の対象となったのは3か所(0.06%)だった。

ブライロ・マッジ農牧供給相は、ブラジルの食肉検査システムはしっかり機能しており、一部には問題はあるが、それは全体に波及するものではないとコメントした。連邦検査済み(SIF)シールが貼ってある商品は品質が保証されており、今回操業停止となった工場で作られた製品に関しても、省が追跡しているという。

世界で2番目の食肉生産国であるブラジルにとって、この一連の事態による内外の食品市場への影響が、新たな問題となっている。EUに続いて、アメリカ合衆国、中国、マレーシアなどもブラジル政府に説明を求めはじめている。

大統領府は18日(土)、連邦食品検査(SIF)の質の高さを強調する声明を発表した。声明のなかで、ブラジル政府は国内外に出荷する食品の品質を確かなものとするため、全力を尽くすと述べている。

農牧供給省も、ブラジルから食肉を輸入する国に向けた一般声明文を準備しているという。

声明には、「カルニ・フラカ作戦」についての説明と、問題の箇所を特定する情報も含まれる予定だ。SIFマークを取得している5000の加工場のうち、捜査が必要となったのは22か所のみであることも記載されているという。

また、動物由来食品の検査に関して違反者に対する刑罰がより重くなる新しい法令の内容も含まれる予定だ。新しい法令は今月末発表される。

テメル大統領は19日、食肉の生産輸出組合との会合を開く。この問題がいつまで長引くのか、その後輸出相手国に説明する内容について情報収集をしたいと述べた。

EUは最初に釈明を求めてきた経済ブロックだが、ブラジルが食品検査に対する信頼性を担保する回答を求めている。

「農牧供給省とその他ブラジルの関係筋に望むのは、ブラジルの検査システムに対する我々の信頼を回復できる返答を提示することです」(EU大使、ジョアン・ゴメス・クラヴィーニョ氏)

「起こっている問題は幾人かの公務員、いくつかの会社が犯した不祥事です。我々はなぜ問題が起こったのか議論すべきです」(ブライロ・マッジ大臣)

ちなみに「カルニ・フラカ作戦」の関連報道でメディアに名前が挙がった企業は3月18日、「重要な事実を明らかにするため」として、加工拠点操業停止の件や贈賄疑惑についてプレスリリースで説明している。

(文/原田 侑、写真/Valter Campanato/Agência Brasil)
写真は3月17日、ブラジリア。カルニ・フラッカ作戦について会見した農牧供給省のエウマール・ノヴァッキ事務次官