カテゴリ : column ブラジルサッカー界の現場から
2017年 03月 22日 00:31
それが、筆者がブラインドサッカーの試合を初観戦して感じた素直な気持ちだった。
2017年3月20日(月)、フットメッセ大宮にてブラインドサッカー日本代表vsブラジル代表の国際親善試合、さいたま市ノーマライゼーションカップが行われた。
ブラインドサッカーは、フットサル程度の広さのコートで、アイマスクによる目隠しをして行うサッカー。GK以外の選手は基本的に全盲者であるが、国内ルールでは競技普及のため、晴眼者がアイマスクを着けて一緒にプレーする事もある。
ボールは転がると音が鳴る様になっており、また晴眼者であるGKの他に、監督、そして相手ゴール裏にも指示者を置き、彼らの声掛けも頼りにする事で、目が見えない状態でもサッカーをする事が出来る。
と、ブラインドサッカーを観戦した事の無かった筆者なりにもある程度予習はしてきたはずだったのだが、やはり「勘違い」していた。
子どもの頃に、ほんの遊びの気持ちから派生したような、目隠しをしてやるサッカーなら実は筆者も経験があった。ブラインドサッカーの公式ルールに則ったものではなく、あくまで子どもが即席で考えた遊びではあるのだが。
普段は全力でボールを追い掛けているのが、目隠しの状態だと、歩く事すらままならなかった。走るなんて、以ての外。恐怖以外の何物でもない。シュートやパス、ドリブルにいたるまで、何も出来なかったし、得点するなんて一生叶わない夢に思えた。
そんな経験があったからか、余計に観戦前の筆者のブラインドサッカーのイメージは、「手を前に突き出し、オドオドしながら老人の様に歩く選手達」の姿を頭に置いたまま会場に入った。
そんな自分の認識不足を謝罪したい。
ブラインドサッカーを含め障がい者スポーツと言うと、「ハンデを持っていても頑張っている姿に感動」だとか、「多くの人がサッカーを楽しめるのは良い事だな」とか、「健常者がブラインドサッカーをしてみる事で障がい者との交流になり、気持ちを知れる」という社会的な意義に意識が偏りがちだ。
もちろん、それらも非常に重要なものではあるが、今日、筆者の目の前で行われていたのは少しイメージと違うもの…「闘い」だった。
選手はボールに向かって全力疾走しているし、ゴリゴリに体をぶつけ合う。目が見えないのに怖くはないのか、不思議だった。
(次ページへつづく)
(写真・文/平安山良太)
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著者紹介
ライター、代理人、通訳。サンパウロ在住。
沖縄県出身。小学生よりサッカーを始めるが、 ケガにより早期挫折。高校時代より指導者の道へ。 日本で中京大学や名古屋グランパスU12でのアシスタントコーチ などを含め、幼稚園~大学生まで幅広く指導者として関わった後、 更なる成長を志し海外へ。
東南アジアのトライアジアプノンペンFC( 現カンボジアンタイガーFC)やラオス代表で研修の後、 ブラジルへ渡る。ブラジル一部リーグのアトレチコ・ パラナエンセ→SCコリンチャンス→Avai FCの下部組織にてアシスタントコーチを歴任。 アルゼンチンのリーベルプレートやペルーのアリアンサ・ リマで研修生の経験も。
2016年現在は再びコリンチャンスにお世話になっている。
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