駐日ブラジル大使館に「トミエ・オオタケ・スペース」がオープン
2017年 03月 25日3月24日、東京・青山にある駐日ブラジル連邦共和国大使館内に、芸術作品や商品の展示などを行うことができる新しい空間「トミエ・オオタケ・スペース」が、公式にオープンした。
この空間には、ブラジルを代表する造形作家トミエ・オオタケ(1913~2015)に敬意を表して、彼女の名がつけられている。
開会の辞でアンドレ・アラーニャ・コヘーア・ド・ラーゴ大使閣下は、このスペースを利用して、日本にブラジルのことを積極的に紹介していきたいと述べた。
「本日は、トミエ・オオタケ・スペースの開設に伴う初めての個展がスタートする記念すべき日です。トミエ・オオタケ・スペースは在日ブラジル商工会議所の温かいご支援なしでは開設することができませんでした。250平方メートルのこのスペースが、芸術作品の展示、討論会、ブラジル産品の紹介などに用いることができるようになりました。そして、記念すべき最初のイベントとして、ブラジルで最も著名な建築写真家のひとりであるクリスチアーノ・マスカーロの写真展を開催できることを嬉しく思います」(アンドレ・アラーニャ・コヘーア・ド・ラーゴ大使閣下)
この日は、同スペースでの最初の公式展示会となる「クリスチアーノ・マスカーロ写真展“Brazil: Urban landscapes”」の開幕日でもあり、クリスチアーノ・マスカーロ本人や、サンパウロ大学建築学科のウーゴ・セガワ教授も来日して、大使館内マナブ・マベ文化スペースで講演を行った。
「私の写真は“街”をテーマにしたものです。私は写真家になる前に建築学部の学生でしたが、学校では、街というのは、人間の知識の発展の軌跡であるということを学びました。世界各地にある個別の建築物…イギリスのストーンヘンジ、エジプトのピラミッドなどを眺めてみても、人類の足跡と考えることができます。その学生時代、ある日、私は図書館でアンリ・カルティエ=ブレッソンの写真に出会い、ショックを受けました。それは戦争の写真でも大自然の写真でもなく日常の風景を写した写真でした。さりげない人々の日常を写しているだけになのに、繊細で表現豊かに写したものでした」(クリスチアーノ・マスカーロ)
「クリスチアーノの写真は、街に人が存在することを気づかせてくれます。今回の展示作品の中にも、街自体はが写っていないものもありますが、そこには人間の存在があります。人間が映っていない写真もありますが、常に人間の足跡を彷彿させる何か、人の存在を示唆するものが映っています。また、彼の写真は幾何学を教えてくれます。一例をあげますと、教会の天井などは実にあざやかな幾何学的な構図ですが、彼がそれを示していなければ我々は気がつくこともなかったでしょう。彼は常に、街の中を歩くという冒険によって、そういった題材を見つけるのです」(ウーゴ・セガワ教授)
「クリスチアーノ・マスカーロ写真展 “Brazil: Urban landscapes”」は4月7日まで、駐日ブラジル大使館(港区北青山2-11-12)「トミエ・オオタケ・スペース」にて開催。開館は9:00~17:00、土・日・祝日は除く。入場無料。
(写真・文/麻生雅人)