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ブラジルは「働き方改革」の先進国!?

働き方改革 ブラジル

外国人は日本人に比べて仕事よりも家族と過ごす時間やバカンスを優先する、日本人は外国人に比べて長期休暇がとりづらい…。そういわれ続けて久しいが、実際の労働環境は、それぞれの国でどうなっているのだろう。

「ITエンジニアの「海外進出」読本」(幻冬舎メディアコンサルティング、2月23日発売)は、そんな問いに答えてくれそうな書籍となりそうだ。

執筆したのはふたりの現役ITエンジニア。五嶋仁(ごとう ひとし)氏と高木右近日向(たかぎ うきひこ)氏で、共にイー・ビー・ソリューションズのマネージング・コンサルタントの肩書を持つ。

五嶋氏は2002年に東芝に入社してグループ内外のアメリカ合衆国、タイ、中国、ブラジルの基幹(ERP)システム、グローバルSCMシステムで多数のプロジェクトリーダーやPMOを経験したという。米国公認会計士の資格も持つ。

高木氏はメーカーSEとして石油・化学業向けのシステム開発に12年間従事した後、現職へ。東芝のグローバル・プロジェクトにおける本社側でのプロジェクトマネジメント支援などを行っているとのこと。中小企業診断士の資格を持つ。

本書は、現役ITエンジニアが海外プロジェクトを進める際のポイントをご紹介するというビジネス書だが、その中で著者がこれまで身をもって実感した各国のひとびとの働き方の慣習の違いについて語っている。

例えば「海外では休暇が確保されてはじめて人々が動く」という話題では、ベトナムやフィリピン、韓国などは日本の働き方に比較的近いように見得る国もあるが、大まかに見ると、残業や休日出勤はしないというのがグローバルの常識と思っておく方がよいと本書は述べている。

その中でも、厳しく労働時間制限をしている国の例としてブラジルが挙げられており、昨今日本では“働き方改革”を政府が旗をふって推進しようとしているが、「ブラジルの現在の制度を知ったら「改革」という言葉を使うのが恥ずかしくなる」かもっしれないという。。

「ブラジルでは、管理職も含めて、1年のうちに連続30日のバケーション休暇(しかも有給)を与えなければいけないという決まりがあります。また、1週間の労働時間は44時間までと厳しく制限されています。残業は1日2時間までで、残業代として50%割り増しの給料を支払わなければなりません」(「ITエンジニアの「海外進出」読本」)

加えて、ドイツ(6カ月継続勤務した人に最低24日の有給休暇を取得する権利が与えられる)、フランス(年間5週間の法定最低休暇がある)、スウェーデン(1日6時間労働の試みが始まった)、オランダ(週4日勤務が当たり前になりつつある)といった例を紹介している。

しかし、欧米やヨーロッパ文化が根づくブラジルでは当たり前だという長期休暇は、業務に支障を来さないのだろうか。

著者は、日本は「電車が時刻表どおりに来る」という世界でも珍しい国でプロジェクトの納期遅れなどにも敏感だが、バケーションをしっかりとる国では、納期遅れをあまり気にしないこともしばしばあるという。

「ITエンジニアである我々の場合、コンサルタント、システムエンジニア、業務ユーザー、マネージャー、経営者などと一緒に仕事をしますが、業種、役職にかかわらず全員が休暇についてのルールに従います。そして、バケーションについても、本人が取ると決めている日をあとから調整するのは事実上不可能です」(「ITエンジニアの「海外進出」読本」)

そして休暇をきっちりとる国々では日本のように残業や休日出勤で遅れをカバーするなんてことはあり得ず、バケーションの長さだけ納期が遅れていくという。そのためプロジェクトで動くときには、あらかじめチームメンバーのバケーションに合わせた進行計画を立てなければならないという。

そして、そんな中でもブラジルは、特に大きめのバッファーを取った余裕あるスケジュールを立てる必要があると指摘する。

「そのバッファーの大きさたるや、ふだん日本で仕事をしている人には想像もつかないものだと言っておきましょう。そして、そのバッファーはたいてい使い果たされます」(「ITエンジニアの「海外進出」読本」)

しかしそんなブラジルも、テメル政権による労働法の改正によって変わろうとしている。働き方を見直す機運もまた国によって異なるようだ。

(文/麻生雅人、図版提供/幻冬舎)

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