三菱重工がブラジル、サンパウロで電気バスと急速充電システムの開発・実証試験を推進
2013年 11月 20日三菱重工業と三菱商事は11月20日(水)、ブラジルのサンパウロ州交通局傘下で公共路線バス運営を管轄するサンパウロ都市圏運輸公社(EMTU/SP:Empresa Metropolitana de Transportes Urbanos de Sao Paulo S.A.)およびバス運営会社のメトラ社(Metra Sistema Metropolitano de Transportes Ltda.)と、電気バスの走行試験契約を締結したことを発表した。
電気バスの走行試験は2014年8月まで行われる予定で、同州で電気バスと急速充電システム(パンタグラフ式)を開発・実証しながら、公共交通市場のニーズに適合した電気バスシステム関連技術の確立を目指す。全長18mとなる2連接の大型電気バス1台の開発が完了、同電気バスを用いながら、州都サンパウロ市域のバス路線において、一般乗客を乗せた走行試験および評価を行う予定という。
なお、電気バスの共同開発契約は、2013年5月、メトラ社グループでトロリーバスを製造するエレトラ社(Eletra Industrial Ltda.)、三菱重工、三菱商事との間で既に締結済。
中南米の公共交通機関はバスが中心で、環境対策の観点から電化ニーズも高まっている。サンパウロ州は特に環境意識が高く、7万台規模の全バスを2020年頃までに再生可能エネルギー対応に置き換える計画を持っているという。
三菱重工、三菱商事の両社は、今回のプロジェクトを通じたパートナーシップを足掛かりに、ブラジルをはじめとする中南米の電気バス市場を積極的に開拓していく。
1.今回の開発・実証試験における役割分担
(1) 電気バス開発ステージ(2013年3月~11月)
①三菱重工: 電力保持性能に優れる自社製リチウムイオン二次電池パック、新開発のパンタグラフ式急速充電システム、および普通充電器の提供。
②エレトラ社: リチウムイオン二次電池パックの電気バス屋根上への搭載工事、および充電器の据付工事
③三菱商事: 現地コーディネーション業務
(2) 走行試験ステージ(2013年11月~2014年8月)
①三菱重工: 走行データの取得やバッテリー性能の評価
②三菱商事: 現地コーディネーションおよび商用展開にかかわるマーケティング
③EMTU: 電気バス実用性評価
④メトラ社: バス試験走行協力および運用面からの評価
⑤実証試験の目標 :
初期投資を抑制するため電池容量を最小化しても、急速充電による継ぎ足し充電により、朝と夕方のピーク時間帯は無充電で走行し、ライフタイムコストはディーゼルバスやトロリーバスより優れていることを実証することを目標とする。走行試験を通じて、蓄電池劣化を最小化する最適な急速充電パターンや、実運用に適したパンタグラフ式充電、また、簡素なシステムパッケージなどについて検証していく予定。
2. 各社概要
(1)EMTU
①所在地: Rua XV de Novembro, 244, Bairro, Coentro – Sao Paulo, Brasil
②代表者: Mr. Joaquim Lopes
③主な役割: サンパウロ州交通局傘下で公共路線バス運営を管轄
(2)メトラ社
①所在地: Rua Joaquim Casemiro, 290, Bairro : Vila Planalto – Sao Bernardo do Campo, Sao Paulo, Brasil
②代表者: Mr. Joao Setti Braga, and Mrs. Beatriz Setti Braga
③主な事業: 路線バスの運営会社
(3)エレトラ社
①所在地: Rua Monteiro Lobato, 96, Sao Bernardo do Campo, Sao Paulo, Brasil
②代表者: Mr. Joao Setti Braga, and Mrs. Beatriz Setti Braga
③主な事業: トロリーバス製造メーカー
(文/麻生雅人、写真提供/三菱重工)
写真上:電気バス車体全景、写真中:電気バス車内