願いが叶いやすくなる?  ボンフィン教会のフィッタ、コットン素材に戻る。20年ぶりに生産もバイーアで

2013年 11月 29日

フィッチーニャ

ブラジルみやげとして一度は目にした事があるだろう、カラフルなフィッタ(フィッチーニャとも呼ばれる。リボンのこと)。60年代、バイーア州のヒッピーがアクセサリーとして身に付けたことで広く知られるようになったといわれているが、もともとは、ブラジル北東部のバイーア州のボンフィン教会から始まったとされる願掛け用のリボンだ。

手首に3回巻いて巻くたびに願い事をして結ぶと、リボンが切れたときに願いが叶うといわれていて、中には「3つ願いを唱えよ」と印字されたフィッタもある。また、信仰の強さによって、リボンの切れるスピードが早まるのだとか!?

しかし、実際、つけてみたこのとある人ならわかると思うが、このフィッタは、なかなか切れてくれない。かなり色も変色して細く(ちょっとみすぼらしく!?)なってしまったフィッタを手首に巻いている人も少なくない。

それもそのはず、今日のフィッタはポリエステルなどの合成素材でできているのだという。そして、このフィッタの素材がコットンに戻るという。「フォーリャ」(電子版)などが11月29日(金)に報じた。

それにより、従来 10センターボ (R$ 0,10=約4円) で販売されていたフィッタは、30センターボ (R$ 0,30=約11円) に値上がりするとのこと。

また、「フォーリャ」によると、もともとフィッタの色は、バイーア州に伝わる民間信仰カンドンブレーの神を表す10色からなるという。ワールドカップを控える2014年には、オショッシ神 (Oxóssi) を表すグリーン、オシュン神 (Oxum) を表すイエロー、オグン神 (Ogum) を表すダークブルーと、ブラジルカラーに使われている3色が売れるだろうと言われている。

ところで、今回のフィッタのコットンによる生産は、11月27日(水)、バイーア州観光局にてバイーア州政府によって発表されたもの。

同州政府の発表によると、現在、合成素材によるフィッタはサンパウロ州のみで生産されており、コットンの新しいフィッタはバイーアで生産を行う。同州で生産が行われるのは20年ぶりとなるという。

同州州都で、ボンフィン教会があるサルヴァドールは2014年のワールドカップ開催12都市のひとつ(会場はフォンチ・ノヴァ・スタジアム)。どうやらワールドカップ時期の観光客によるおみやげ需要を背景にしたプロジェクトのようだ。

宗教と文化の商品生産者協同組合コーディネイターのモイゼス・カフェゼイロ氏によると、同組合が工場を管理して、伝統的な形でのフィッタ・ヂ・ボンフィン、ろうそくや他のアイテムに加えて(教会の)象徴となるさまざまな手工業製品を奉納するという。

「今日のフィッタはなかなか切れません。聖人に3つの願いを叶えてもらうのに、かなりハードルが高くなっています。コットンの素材でつくることで、聖人も願いをかなえてくれるでしょう」とモイゼスは冗談も交えて語った。

ともあれ、フィッタが切れやすくなったのは、ボンフィン教会の信者や願い事が好きな観光客にとっては、楽しいニュースかもしれない。でもあまりにすぐ切れちゃうのは、チョットさびしい気もする!?。

(文/柳田あや、写真/turismobahia)