ワールドカップを通して改めて感じた、「移民国家」ブラジル

2014年 07月 2日

フランス 美女サポーター

ブラジルでワールドカップの応援を見ていて気づいたもう一つのことは、ブラジル戦以外でも、ローカルなバーなどでみんな試合を熱中して観ており、得点が入ったら大きな歓声が上がっている。

考えてみれば、約160万人という海外最大の日系人コミュニティがブラジルにあり、日系人のみなさんが日本を応援しているように、ブラジルは移民国家なので、ほぼすべての人のルーツは他国にある。だから、ワールドカップにおいて、ブラジル人はたいがいふたつの応援する国を持っているのである。

当然一番多いのはポルトガルからの移民だと思われるが、ブラジルの人口が約2億人であることを考えると、おそらくポルトガル系ブラジル人は本国の人口1000万人超をはるかに凌いでいると思われる。なぜなら、二番目に多いと思われるイタリア系移民は、なんと2500万人から3000万人いるといわれているからだ。

イタリア本国の人口が約6000万人であることを鑑みると、すごい数である。ブラジルでイタリアのカーブランド「フィアット」がシェア1位を取るほど人気がある理由はこんなところにもあるのだろう。

他にも、ユダヤ系の人が約1600万人、レバノン系約700万人、ドイツ系約500万人、ウクライナ系約300万人などである。本当に国際色豊かな国である。

ナタルで行われた日本対ギリシャ戦のテレビ放送で、約7000人の日本人が応援に駆けつけたと伝わっていたが、この間相当数の日本人がブラジルの空を飛びまわっている。その多くはおそらく日本から国際線でいったんリオに入ってから、国内線に乗り換えて各地に向かっているはずだ。

ワールドカップ期間中にリオ出張から最終便でサンパウロに戻るときに、リオの国内線空港であるサントス・デュモン空港のあるエアラインのチェックインカウンターで、女性職員がまじまじと私の赤のパスポートを見つめ、おもむろに「日本の第二外国語は何?」と聞かれた。ちょっと面食らったが「おそらく英語ですよ」「ほとんどの人が3年から6年は英語の授業を受けています」と答えた。すると、すかさず「じゃあ、どうして日本人は英語ができないの?」と聞かれ絶句してしまった。

おそらく彼女は今回のワールドカップ開始後のわずかな期間に大量の外国人と接したわけだが、その中でも日本人とのコミュニケーションにかなり苦戦をしたことがうかがえる。

一応、読み書きは出来る人が多いですが、話すのは苦手なのですと返答したら納得をしていたが、日本代表の厳しい試合を見ながら、サッカーもビジネスも教育も日本の国際化はまだまだこれからだなあと感じた。

(文/輿石信男/クォンタム、記事提供/モーニングスター、写真/J.P.Engelbrecht/PCRJ)
6月26日、エクアドル対フランス戦が行われたマラカナン・スタジアムでフランスを応援するサポーター