安倍首相のブラジル訪問は経済交流拡大も視野に。海底油田開発設備投資と技術者育成、新薬安全審査迅速化の技術供与もテーマ

2014年 07月 26日

リオ石油

安倍首相が中南米訪問に出発した。日本の内閣官房長官は、安倍首相は7月25日から8月2日までの間に、メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジルを訪問、各国首脳との会談を行う予定だと発表している。

安倍首相はブラジルではジウマ・ルセフ大統領と会談を予定しているほか、サンパウロ市で、対中南米政策スピーチを行う予定もあるという。

今回の安倍首相のブラジル訪問は、ブラジルの経済成長に日本企業が貢献する仕組みをつくり、関係発展につなげるのが狙いのようだ。両首脳は経済交流拡大に全力で取り組む意向を表明するという。

首相が8月1日、ルセフ大統領と会談する時に発表する海洋資源の開発に関する両首脳間の共同声明の内容を、海外のメディア(パキスタンの「ザ・ネイション」7月21日づけ、アメリカ合衆国「グローバルポスト」7月20日づけ)などが報じている。

共同声明文には、ブラジルの海底油田開発を支援するため、日本のフローティング技術を導入した巨大海上基地建設への参加が明記されているという。

大規模なフローティングの構造は幅が約300メートル、長さ100メートルとのこと。

現在の計画では、ペトロブラスは最終的にはほぼ1000億円かかると見込んでおり、費用はそれぞれ50基の石油堀削のためのプラットフォームを調達する必要があるという。

また、作業員、機械および消耗品等の膨大な物流を促すために、50基の深海掘削にかかる各600億円だけでなく、船を必要とする。すべてにかかるプロジェクトは、約200兆円の費用が必要となると語った。

IHI(株)と三菱重工業など日本の 大手造船会社も、大規模なフローティングプラットフォームを構築することを提案しているという。

同時に、ブラジルの造船産業の基盤強化を目指し、国際協力機構(JICA)も日本の造船企業の協力を得て、造船技術のブラジルの専門家を養成する事業も年内に開始する。

またブラジルの新薬の安全審査を支援することによって、審査を迅速化して輸出増を狙う。

ブラジルに照準を合わせたのは、高い経済成長で需要が見込める上、日系人医師が多く、日本企業が進出しやすい環境が整っているため。日本が他国に新薬の安全審査のノウハウを提供するのは初めてだという。

首相訪問時にブラジルと医療分野の協力覚書を締結する方針とのこと。安全審査は日本では4~13ヶ月で済むが、現在、ブラジルでは21~30ヶ月もかかっているという。

(文/加藤元庸、写真/LatinContent/Getty Images)
写真はリオデジャネイロ、海上プラットフォーム