人工中絶を受けようとしていた行方不明女性、焼死体で発見
2014年 10月 1日人口中絶を求めるブラジル人の女性が直面しているリスクが、27歳の女性の残酷な死によってまた浮かび上がった。
8月26日に行方不明となり、その後、黒こげの焼死体で車のトランクから発見されたジャンジーラ・マギダレーナ・ドス・サントスさん(27)の葬儀が、事件から約1か月経った9月28日(日)に行われた。現地メディア(「G1」同日づけ、テレビグローボなど)が伝えている。
葬儀はリオ市郊外のヒカルド・ジ・アウブケルキにある墓地で行われた。2児の母でもあったジャンジーラさんは中絶手術を受けるため8月26日に家を出て、市の西部にある医院を訪ねたまま消息を絶っていた。ジャンジーラさんは妊娠4か月だった。
この事件では現在5名が起訴されており、容疑者のニセ医師1名が逃亡中だという。
ジャンジーラさんの姉妹ジョイス・マギダレーナさんは「警察と司法の正義を信じています。すぐに偽医者が逮捕されていることを期待しています」と語った。
同事件を英BBC(9月30日づけ、電子版)も伝えており、「ジャンヂーラさんが中絶をしようとしたからことが事件を引き起こした」というコメントが紹介されている。ただしコメントの主は決してこの犯罪を肯定しているわけではなく「今度は殺人を犯した人々が罰を受ける番だ」と語っている。
カトリック大国のブラジルでは法的に中絶は、母体にリスクが高い場合や強姦によって妊娠させられた場合など例外的な状況下でしか認められていない。
BBCによると最近の世論調査では、中絶合法化に対して人口の79%が反対しているにも関わらず、国の5人に1人の女性が40歳までに中絶を経験したという統計が出ているという。
2009年3月にオリンダとヘシーフィの大司教ジョゼ・カルドーゾ・ソブリーニョ氏が、性的虐待を受けて妊娠した9歳の少女が堕胎手術を受けた際に、少女の母親や医師、手術の関係者を教会から破門して話題になったことがあった。
さすがにこの時はルーラ大統領(当時)も教会を批判したが、現在行なわれている大統領選挙でも、ルーラ元大統領を引き継いでいる労働者党:PT候補のルセフ大統領はカトリック信者の票を集められないでいるとBBCは指摘している。
(文/加藤元庸、写真/TV GLOBO/Reprodução Globo News)
写真はグローボニュースが報じたジャンジーラさん事件。グローボニュースはグローボインターナショナルで生放送中。問い合わせはスカパー!、もしくはアイピーシーワールドまで