ジウマ大統領、抗議デモを前に政府内の政局調整メンバーを改変。主要閣僚会議に労働者党以外の連立与党も迎える

2015年 03月 13日

アウド・ヘベーロ氏

ジウマ大統領は(3月)11日、15日に全国で計画されている大統領に反対するマニフェスタソン(抗議デモ)を前に、連邦政府内の政局調整を行うメンバー編成を変えることを発表した。

これまでの労働者党(PT)一辺倒だった主要閣僚会議に、民主運動党(PMDB)をはじめとする他の連立与党を加える方針を示した。12日付伯字紙が報じている。

ジウマ大統領が新たな政局調整要員として指名したのは元サンパウロ市市長でもあるジルベルト(ジウベルト)・カサビ都市相(社会民主党・PSD)、アウド・リベロ(ヘベーロ)科学技術相(ブラジル共産党・PCdoB)、エリゼウ・パジーリャ民間航空庁長官(PMDB)の3人だ。

今政権でのジウマ大統領は、アロイージオ・メルカダンテ(メルカダンチ)官房長官らPTの主要閣僚6人との会議で重要案件などを扱ってきた。だが、そのやり方はエドゥアルド・クーニャ下院議長を筆頭とする議会の不満や反乱を招いており、ミシェル(ミシェウ)・テメル副大統領からも「ジウマ大統領は重要な決定を行う際に(連立与党の最大パートナーである)PMDBにも声をかけず、PT人脈だけで決める傾向がある」との苦情を受けていた。

今回の決定は、こうしたPMDBからの不満の声や8日の政見放送中の抗議行動、9日のサンパウロ市での公式行事での野次などの後、ルーラ前大統領が10日の大統領官邸での会食前後に行った助言などを基にしたものだ。

この際の助言を受け、これまで政局調整の中心と目されていたアロイージオ・メルカダンテ(メルカダンチ)官房長官は政府内の業務のみに専念することになる。ルーラ氏は会食前にメルカダンテ(メルカダンチ)氏の調整能力に対する不満を表していたが、ジウマ大統領に同氏解任の意図はなく、会食後に行ったPTの首脳会議で同氏に自身の今後の意向を伝えたという。

また、メルカダンテ(メルカダンチ)氏と共に議会との関係を調整する役を担っていたペペ・ヴァルガス大統領府政局調整長官に至っては、10日の会合にさえ呼ばれておらず、解任されるとの見方が強まっている。後任は、ラヴァ・ジャット作戦での疑惑の政治家リスト入りを免れた、前下院議長のエンリケ(エンヒッキ)・アウヴェス氏(PMDB)の就任が有力視されている。

ジウマ大統領は、政局調整の任務を負うメンバーに3人の閣僚を加えて連立与党や議会との関係改善に努めるほか、不穏な動きや批判の只中に置かれることを避けるため、ネット上での動きを監視し、社会活動団体へ接近する意向も固めている。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Antonio Cruz/Agência Brasil)
写真は新たに政局調整要員の一人として指名されたアウド・ヘベーロ科学技術相(ブラジル共産党・PCdoB)