ブラジルで学生による格安ビジネスコンサルが好評

2016年 10月 27日

学生コンサル ブラジル

ブラジルは世界でも指折りの起業家の多い国だ。自分の城を持ち、主として事業を続けていくことにあこがれる人が多いが、起業をしてみたものの、見込み通りに事が運ばず、廃業を選択する人も少なくないようだ。

ブラジルには中小零細企業支援機構(SEBRAE)など、公共の支援サービスは存在するものの、十分に行き届いているとはいいがたい。一方で、中小零細企業には有料の専門家によるコンサルティングを受けられるほどの余裕がある企業も少ない。

こんな需要と共有の溝をうめるサービスが今、サンパウロで話題に上っているという。

TVグローボが10月23日(日)、経済情報番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」で伝えたところによると、教皇庁立サンパウロ・カトリック大学(以下「PUC」)の学生が、中小零細企業に対するコンサルティングサービスを始めたという。

PUC経済学部・経営学部・商学部の学生46人で発足した「エンプレーザ・ジュニオール」(「若いビジネス」)では46人がそれぞれ役割を担っている。

エンプレーザ・ジュニオールでは困難な状況にある中小零細事業主や起業に関心を持っている個人に対してコンサルティングを行う。

「まず第一に、私たちは学生による団体です。クオリティと費用対効果の高い、イノベーティブなアイディアも持っています。若い企業には老舗にはないメリットを提供できるのです」(プロジェクトディレクター、ビアンカ・デッラ・フォヴェーリさん)

ピリニオ・エドゥアルド・ストルチさんとその妻アドリアーナさんはエンプレーザ・ジュニオールに3500レアル(約12万円)を払ってコンサルティングを受けた。二人は大学内にある食堂の売り上げを伸ばしたいと考えていた。

学生のコンサルティングを受けることになったのは偶然ではない。夫婦はすでに販売に関しては十分な経験を持っていたが、経営や経理に関しては全くの素人だった。また、大学内の売店を続けていくにあたって、実際の顧客である学生の生の声を聞きたいとも思っていた。

「私たちは彼らがより自分の事業をコントロールでき、長期的な視野で事業について考えられるよう、マーケティングと財務分野に注力することにしました」(エンプレーザ・ジュニオール財務ディレクター、セーザル・フフィーノさん)

学生たちは夫婦の事業の強みと弱みを知るため市場調査を行い、経営と経理、仕入れの仕方、マーケティングプランについてアドバイスを行った。

今日、ブラジルは世界で最も、起業して間もない若い会社が多い国だ。2015年は全国で311の学生によるエンプレーザ・ジュニオールの類の事業が発足している。ちなみにヨーロッパでは296だ。

PUCのエンプレーザ・ジュニオールは月約5件の中小零細企業に対応している。収入はすべて再投資に回している。このプロジェクトに参加している学生は完全に無報酬だ。しかしながら、彼らは実務経験を積むことができる。

「私たちは経験値を積み上げるべき時期です。プロジェクトに入って働くことで顧客が自分たちの提供したサービスを活用していくところを見ていくことは重要です」(ビアンカ・デッラ・フォヴェーリさん)

「学生コンサルタントのサービスを受ける価値は十分にあります。私は彼らのサービスにとても満足しています。学生たちは学ぶ意欲が旺盛ですし、実際、いろいろなことをしてくれます。彼らに頼んで本当に良かったと思っています」(ピリニオ・エドゥアルド・ストルチさん)

PUC JÚNIOR CONSULTORIA
(PUC ジュニオール・コンスルトリーア)
所在地:Rua Ministro Godói, 969 – Perdizes, São Paulo/SP – CEP: 05014-901
電話: (11)3670-8565
Email: contato.pucjr@gmail.com
ウェブサイト: http://www.pucjunior.com

LANCHONETE SABOR UNIVERSITÁRIO
(ランショネッチ・サボール・ウニヴェルシタリオ)
所在地:Rua Coronel Luis Barroso, 566 – Santo Amaro, São Paulo/SP – Cep: 04750-030
電話: (11) 2373-8778

(文/原田 侑、写真/Reprodução/PEGN TV/TV Globo)
写真はエンプレーザ・ジュニオールがコンサルティングを手掛けた学内食堂。「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」より。日本ではIPCTV/グローボインターナショナル(スカパー 514ch)で放送中