司法取引で、贈収賄関係者51人の政治家の実名が明るみに
2016年 12月 13日今月(12月)上旬、検察とオデブレヒト社77人の元・現経営陣の間で司法取引に関する合意がなされてから、汚職捜査ラヴァ・ジャット(洗車)作戦は新しいフェーズに入った。
現在、同社元経営陣から次々と新証言が出てきつつあると、グローボ系ニュースサイト「G1」が12月10日づけで伝えた。
「G1」によると、オデブレヒト社のクラウヂオ・メロ・フィーリョ元公共事業部担当役員が捜査当局の聴取に応じ、11政党の51人の政治家の名前を挙げたという。その中には現政権の閣僚も含まれている。
聴取に応じたクラウヂオ氏は、国会議員とオデブレヒト社のパイプ役を任せられており、同社に27年勤務したうちの12年はブラジリアで活動をしていた。
元役員は、同社の前社長で現在クリチーバで服役中のマルセロ・オーデブレヒチ氏の信任が特に厚い人物だったという。
経営学を修めたのち、元役員は連邦区の地下鉄建設プロジェクトにかかわり、2004年には父親がそれまでつとめていた公共事業部の担当役員に就任した。政治家との関係もこの父から受け継いだ。
ラヴァ・ジャット作戦の調書によると、元役員は国会での影響力の高さで国会議員に優先順位をつけて付き合い方を決めていたと述べたている。また、まだそれほど力はないが、将来オデブレヒトの利益を守ってくれそうな政治家を「有望な」政治家、と呼んでカテゴリー化していたとのことだ。
2016年3月、この元役員はラヴァ・ジャット作戦第26フェーズの証人として連邦警察に呼ばれた。このフェーズではオデブレヒト社の中に贈賄専門部隊が構造的に存在していることが明るみに出た。
同年5月、元役員は、ペトロブラスの汚職捜査対象からオデブレヒト社の役員を外してもらうためにジン・アルジェーロ元議員に500万レアル(約1億7500万円)を渡したとして、連邦公共省から告発されている。しかしながらセルジオ・モーロ判事はこの件については証拠不十分で不起訴とした。
ちなみにこの元役員は選挙用資金の洗浄スキームの捜査でも関係者として名前が浮上していたが、いまだに自由の身だという。
元役員は現在、ラヴァ・ジャット作戦の捜査担当者の聴取を受けているが、調書によればオデブレヒト社に利害が生ずる法案について便宜を図ってもらうため、ブラジル民主運動党(PMDB)の重鎮たちに対し、賄賂を贈っていたとのことだ。
調書で元役員が上院の「すべてを支配する核」とみなしていたのは、ホメロ・ジュカー議員(ホライマ州、上院議長ヘナン・カリェイロス(アラゴアス州)、エウニシオ・オリヴェイラ議員(セアラー州)の3人。
下院では、エリゼウ・パヂーリャ議員(現・大統領府官房庁長官)、モレイラ・フランコ議員(現・投資パートナーシッププログラム長官)とミシェウ・テメル議員(現・大統領)に資金が集中していたと元役員は証言している。
(文/原田 侑、写真/José Cruz/Agência Brasil)
写真は2016年10月21日、ブラジリア。ラヴァ・ジャット作戦の捜査を遂行する連邦警察