ダイソーブラジルの挑戦
2017年 01月 5日いろいろ調べてみると、ビジネスが如何に具体的かを当局も見ているとの話を聞き、単なる申請用紙以外に、如何に現実味のあるビジネスプランか、を徹底的に纏め、知人の紹介を受けた弁護士の手も借りて提出したところ、奇跡的に1か月でRadarの取得を行うことができた。
その頃たった一人だけであった部下と二人で飛び上がって喜んだのが昨日のことのようである。
<通関の壁>
これで通関の準備は整った。コンテナもサントス港に到着したが一いっこうに通関できる気配がなく2か月が経過した。
各コンテナに数百もの商品のアイテム数があり、しかも商品名見ただけでは何かわからないような商品リストの山積みのドキュメントを税関が見て、全商品一品一品のチェックと検査をしなければならないためその作業に数か月の時間と莫大な費用が掛かるとの一点張りであった。
輸入通関に長けたDespachante(通関業者)までもがとうとう音を上げたため、最後の賭けと思い、次の日に税関のトップに直接掛け合い、日本のビジネスモデルを伝え、物価高に苦しんでいるブラジルを助けるのが私共の使命である旨を強く伝えた結果、奇跡的に次の日に全てのコンテナの通関を許可してくれた。
ブラジルは不思議な国で、道が閉ざされたと思ったところからが始まりではないのではないかと感じている。
<従業員教育について>
社員には日本の小売業の精神や、朝礼終礼の徹底、更に従業員の数学の基礎学力の無さを少しでも補ってもらおうと、社内で作成したオリジナル計算ドリルで毎日計算の訓練をさせている。
やはり毎日の労働がキャリアアップに繋がり楽しいものだと少しでも思ってもらえれば、離職率の低下や労働問題も回避できると考えており、自然とこのような我々の考えが浸透しているのか、店頭でレジ前にできた長蛇の列を明るく効率良くさばくブラジル人スタッフを見て、彼らの成長を嬉しく感じている。
<経営理念について>
現在、270名程度の従業員数であるが、彼らの各家庭環境を知ると、日本の貧困などとは比較にならない状況に身を置いて暮らしている者も数多くいる。
そんな彼らと共にダイソーという小売業を発展させていくには、彼らにも成長してもらうことでしか会社の発展はない、というのを身を持って感じている。それ故、ブラジルダイソーでは盛和塾会長でもある稲盛氏の経営理念でもある、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という目標を常に持ち、
彼らと共に成長するよう努力している。
<今後の展開について>
2016年末現在、フランチャイズ含めて22 店舗を展開。そして、消費者ニーズが非常に大きかったEコマースを12月から開始した。
2017年以降も、毎年10店舗近くの出店をし、日本の小売業をより身近に感じてもらえるようになりたい。
※「ブラジル特報」は日本ブラジル中央協会が発行している機関紙。政治、経済、文化、芸能など多岐に渡るブラジルの話題を掲載。隔月発行、年6回、会員に無料配布される。日本ブラジル中央協会への問い合わせは、E-mail info@nipo-brasil.org、TEL:03-3504-3866、FAX:03-3597-8008 まで。
(文/大野恵介、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/divulgação)
写真上はダイソー・ブラジルのヘジナウド・パウリスタ・ジェネラル・マネージャー。トヨタに勤務して日本に20年滞在した