ミス・トランス・ブラジル2017、イザベリ・コインブラさんに栄冠

2017年 04月 24日

ミス・トランス Izabele Coimbra

ブラジルでは性同一性障害を持つ人、性転換を行う人々を総称して「トランセクシャル」または略して「トランス」と呼ぶが、そのトランスに対する差別・偏見に基づく嫌がらせ、暴力が社会問題となっている。

無抵抗の1人のトランスが身ぐるみを剥がれ、数人の男によって路上のごみ箱に投げ込まれるなどの暴力事件が報道され、トランスへの暴力に対する怒りの声が高まっている。

暴力と隣り合わせの、自己肯定しにくいブラジルで、心のままに生きることを主張するトランスたちがサンパウロに集結した。

グローボ系ニュースサイト「G1」が4月22日づけで伝えたところによると、前日の21日、サンパウロでトランスによるビューティコンテスト、ミス・T(トランス)・ブラジルのグランプリが発表されたという。

優勝者はミナス・ジェライス州出身のモデル、イザベリ・コインブラさん(23歳)。コンテストを告知するFaceebookのページでイザベリさんは自分を支援してくれた人たちに感謝の言葉を述べている。

「皆さんの支援に感謝します。皆さんの支援がなければこのような結果を残すことができませんでした」(イザベリさん)

前回の優勝者、ナタリー・オリヴェイラさんも次のようにコメントしている。

「私にとって、素晴らしい体験で、人生を変えてしまうものでした。信じられませんでした。優勝の経験は彼女の人生も変えてしまうことでしょう」(ナタリーさん)

コンテストはサンパウロ市中心地区のサント・アゴスチーニョ劇場で行われた。候補者は全部で29人、それぞれ異なる街から出場し、競い合った。優勝したイザベリさんは2018年、タイで開かれるミス・インターナショナル・クイーンに出場する。

また優勝したイザベリさんは希望すれば2種類の手術を受ける権利が与えられる。一つは額とあごの骨格を変えて女性的にみせる手術で、もう一つは生殖器手術だ。

ビューティコンテストの応募者の職業は様々で、企業の管理職、建築家、体育教師、起業家、モデル、看護師、工場の技師、エステティシャンなどだ。

コンテストはトランスへの偏見をなくすための一つの試みとして始まった。コンテストの前後、各々の候補者はG1の取材に対し、性同一性障害に苦しみ、差別・偏見と闘ってきた経験と、女性として生きることができる喜び、自分を理解してくれた人々に出会えたことの喜びを述べている。

(文/原田 侑、写真/reprodução/Facebook)