差別発言でお騒がせのボウソナロ議員にリオ州司法裁判所が罰金命令

2017年 11月 9日

ボウソナロ ブラジル 差別

リオデジャネイロ州司法裁判所は11月8日(水)、大統領選挙に候補として立候補が取り沙汰されているジャイール・ボウソナロ(ボルソナロ)連邦下院議員に対し、テレビ番組を通じて同性愛者を人道的に傷つけたとして15万レアルの罰金の支払いを命じたと同日づけの現地メディア「オ・グローボ」などが報じた。

これにより、ボウソナロ議員は法務省が創設した拡散的権利保護基金(何らかの利益の侵害に基づく集団訴訟で裁判所が金銭賠償を命じた場合に賠償金を納入する特別基金、通称FDDD)に罰金を納入しなければならない。

ボウソナロ議員はマドゥレイラ地区の第6民事裁判所の判決に不服を唱えていた。この水曜の判決はリオデジャネイロ州司法裁判所第6担当法廷にて、3対2で議員の不服が却下された。

だたしボウソナロ議員はこれに対し連邦高等裁判所(STJ)と連邦最高裁判所(STF)に訴えることができる。各メディアは議員の事務所にコメントを求めたが返答はなかったという。

今回の罰金支払い命令のもととなった発言があったのは2011年のこと。

2011年にバンデイランチス局の番組「CQC」の中で同議員は、もしあなたがゲイの息子を持っていたら? という質問に「考えたこともない。私の息子たちはよい教育を受け、きちんとした父親を持っているからね。だから私にはそんなリスクはないよ」と答えたという。

他のやり取りでゲイパレードに招待されたらどうしますか?という質問には「行かない」と答え、「悪習を後押しすることになるから参加しない」と答えたという。

またさらにボウソナロ議員は、ブラジルの公立大学では学生定員の20%を黒人の学生に割り当てるという人種割当(cotas raciais)制度に反対を表明しているが、この件に関する質問でも「もしパイロットが人種割当の該当者だったら私はその飛行機には乗らないだろう。そして、もし医師が人種割当の該当者だったら私は彼の手術は受けないだろう」と答えていたという。

別の場面では、人気黒人歌手プレッタジウが、あなたの息子が黒人女性を愛してしまったらどうするかと質問したところ「私は望まれようとも誰とも混交について議論する気はない。そんなリスクを冒すことはない。私の息子たちは、とてもよい教育を受けているし、あなたのような残念な環境の中で生きてはいない」と返答したという。

このため、全国放送のバラエティテレビ番組内でボウソナロ議員が、レズビアン、バイセクシャル、異性愛者、異性装者、トランスセクシャル、トランスジェンダー、アフリカ系の子孫に対して差別的発言を行ったとして、「ニテロイ市ダイバーシティ」、「同性愛の差別や偏見と闘い意識高揚・解放の岬」、「同性愛の意識高揚の虹」の3団体が、議員を相手取り集団訴訟を起こしていた。

2015年4月に最初の判決が出たが議員は15万レアルの罰金は高すぎると反論していた。議員の言い分は自分がもらっている給料から考えると「生活に支障をきたすほど高額」というものだった。

(文/麻生雅人、写真/Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)
写真はジャイール・ボウソナロ連邦下院議員