トラック運転手による幹線道路封鎖、ブラジル経済に打撃

2018年 05月 27日

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一部の幹線道路からトラックは退去したものの、ガソリンの供給が1週間近く止まった影響は大きい。陸・空・海の交通も間引き運行が行われている。

7日も物流が止まれば当然、国中で生活必需品の極端な供給不足に陥り、一部で値上がりがみられるという。ガソリンを求める車の長蛇の列が全国各地でみられる。

流通が止まることで生産者も商品を出荷できず、卵、野菜など生鮮食料品の廃棄を余儀なくされている農家の悲鳴も聞こえてきている。また、国にとって最も重要な輸出品である食肉も出荷できない状態だという。

各産業、市民生活に対する深刻な影響を鑑み、最高裁判所はトラックを幹線道路に放置した運転手とそれを支援した企業・団体にそれぞれ1日1万レアル(約30万円)、1時間あたり10万レアル(約300万円)の罰金を科すと発表した。また裁判所は道路封鎖を解除させるために出動した警察・軍に対して武器の使用許可申請を受理した。

政府は連邦公共省と共同で裁判所に対して、トラック運転手たちに示威行動の自由はあるものの、このストライキは多くの人の基本的人権(移動の自由など)を脅かしているため違法である、と訴えたという。

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連邦公共省の弁護士団は、燃料不足や食料の供給不足で社会がパニックに陥るリスクを指摘している。

「社会不安を抑えるため、道路の通行を妨げる、または妨げる補助を行った当事者たちに対して、必要十分な策を講じることは正当だと考えます」(連邦公共省弁護士団長、グラーシ・メンドンサ氏)

政府と連邦公共省の訴えはこれから最高裁判所で審議される。結審の予定日はまだ明らかにされていない。

連邦最高裁判所のアレシャンドリ・ヂ・モラエス長官は幹線道路封鎖により燃料その他生活必需品の供給路を絶ったことは『集会とストライキの権利の乱用』との認識を示している。

「集会とストライキの権利は民主国家の根幹をなす原則の一つです。しかしながらその権利の行使によって他者の権利を害していいということではありません。それゆえ、今回は事態の悪化を避けるため、あらゆる手段を講じる必要があると認識しています」(モラエス長官)

政府は、事態の収拾に軍の出動やむなし、としているが、国民の間では軍の出動に対し軍政時代の強権政治を連想する人も多く、世論は分裂している。

物流の混乱に頭を抱える人もいれば、道路封鎖を続けるトラック運転手たちに食料などの支援物資を届ける人もいる。

2018年は選挙の年。様々な勢力・団体がそれぞれの思惑で極端な行動に出やすい時期だが、政府の強権発動が吉と出るか凶と出るか、内外の注目が集まっている。

(文/原田 侑、、写真上/Marcello Casal Jr/Agência Brasil、写真下/Allan White/FotosPublicas

写真上は5月27日、ガソリンをまとめ買いする市民。写真下はサンパウロ、パウリスタ大通りでストによる路上駐車を行うスクールバス運転手たち

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