ルーラ大統領、BRICS間のドルに代わる通貨確立の可能性に言及

2025年 07月 11日

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ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ・ブラジル連邦共和国大統領(写真/Joédson Alves/Agência Brasil)

ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は木曜夜(7月10日)、グローバル・サウスと呼ばれる大国が集まるフォーラムであるBRICSが、貿易関係を強化するためのより独立したメカニズムについて議論を続けると述べた。

ルーラ大統領は、ドナルド・トランプ大統領がブラジルの全輸出製品に50%の関税を課すと発表したことで、米国との緊張が高まる中、テレビ局との2回のインタビューの中でこの発言を行った。

TVグローボ局の報道番組「ジョルナウ・ナシオナウ」のインタビューでルーラ大統領は「「BRICSは世界人口の半分と世界GDPの約30%を占めるフォーラムです。そして、G20には、BRICSのうち(ブラジルを含む)10カ国が参加しており、トランプ氏も(米国を代表して)参加しています」と述べた。

「我々は“北”に従属することにうんざりしています。私たちは政策の独立性を保ち、より自由な貿易を望んでいます。そして物事は良い方向に進んでいます。私たちは独自の通貨を持つこと、あるいはドルを使わずに各国の通貨を使って貿易を行うことの可能性についても議論しています」と大統領は付け加えた。

TVヘコール局の「ジョルナウ・ヘコール」によるもうひとつのインタビューでは、ブラジルに対するトランプ大統領の言動は、BRICSが世界での存在感の確立に対する不満を表わしている、と述べた。

「私は、ベネズエラ、ボリビア、チリ、スウェーデン、欧州連合、中国との貿易関係を維持するためにドルを買う義務はないのです。私たちはそれぞれの自国通貨で行うことができるのです。なぜ私が、自分でコントロールできないドルの準備をする義務があるのでしょう? ドルを製造する機械を持っているのはアメリカ合衆国であって、私たちではありません」(ルーラ大統領)

ルーラ大統領は、いかなる意見の相違も、貿易や各国の主権を攻撃するのではなく、交渉のテーブルで議論されるべきだと強調した。

「もし彼(トランプ氏)が意見の相違を抱いているのなら、G20会議でその問題を取り上げ、文明的に議論を行い、我々を説得し、論議するのが正しい道です。彼がまるで他の人々の主人であるかのように振舞うことはあってはならなりません」(ルーラ大統領)

ルーラ大統領は「ジョルナウ・ナシオナウ」に対し、現時点ではトランプ大統領に電話するつもりはなく、新たな市場の開放によってブラジルの生産部門を守るために立ち上がると説明した。また大統領は、米国のアプローチのトーンは失礼であり、受け入れ難いとも述べた。

「彼は、例えば、ブラジルに電話をして、どのような行動を取るつもりかを伝えることもできたはずです。彼は一切の手紙も送っておらず、私たちも受け取っていません。彼は、全く経緯を欠いた態度で、彼のサイトで発表したのです。それは彼が誰に対してもとる態度です。そして私は、このような無礼な態度を受け入れる義務はありません。国家元首間の関係においても、人としての関係においても、です」(ルーラ大統領)

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)