エクアドルのノボア大統領がブラジルを公式訪問
2025年 08月 20日
ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ・ブラジル連邦共和国大統領は、8月18日(月)にエクアドルとの貿易拡大を支持すると表明し、南米諸国との関係がブラジルにとって最優先事項であると述べた。
ルーラ大統領は、公式訪問でブラジリアを訪れたエクアドルのダニエル・ノボア大統領を歓待し、貿易の多様化の重要性を改めて強調した。
「競争関係が悪化して、国際的な機関が無力化するという困難な国際情勢の中で、我々の独立性を守るためには、断固たる意志が必要です。ブラジルにとって自主性とは、すなわち多様なパートナーシップの構築を意味します。エクアドルや他の南米の隣国との絆は、我々にとって最優先事項です」と、会談後の記者発表でルーラ大統領は語った。
ルーラ大統領によると、ブラジルは司法判断を受けてエクアドル産バナナの輸入を再開するという。1997年、ブラジルは植物防疫上の問題を理由に、隣国からのバナナ輸入を制限した。2017年には一時的に輸入が認められたが、その後再び停止され、摩擦が生じていた。
この件について、ブラジルは世界貿易機関(WTO)を通じ、貿易規則違反を主張したエクアドルから異議を唱えらた。
「我々は、よりバランスの取れた貿易を目指し、エクアドル産品への障壁を減らすよう取り組んでいます。まずは、エクアドル産バナナに対してブラジル市場を開放するように命じた司法判断を履行します。乾燥バナナから始め、年末までには生バナナのリスク評価と分析を完了させる予定です」(ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領)
「同様に、エクアドル政府もブラジルが期待する製品──とりわけ豚肉──に関心を持ってくれると確信しています」とルーラ大統領は語り、メルコスールとエクアドル間の協定の更新が必要であることを強調。「最近発効した両国間の投資協力・促進協定により、ビジネスの安全性が高まるでしょう」と述べた。
2024年におけるブラジルとエクアドル間の貿易総額は11億ドルに達し、ブラジルからの輸出は9億7,000万ドル規模となった。主な輸出品目は、自動車、機械、医薬品、そして紙・パルプ産業の製品となっている。
<犯罪対策>
ルーラ大統領はまた、アマゾン地域関連諸国間における組織犯罪対策の協力について言及し、エクアドルとの間でさまざまな違法行為への対処に向けた連携を強化したい意向を示した。
「我々はキト(エクアドル)における連邦警察の駐在基地を再開し、すでに金融犯罪の捜査に関する訓練も実施しました。刑務所内での犯罪活動を抑制する取り組みから、武器の密輸を取り締まる作戦まで、さらに多くのことが可能です」と述べた。
またルーラ大統領は、デジタルネットワークの規制と、それらを支配する巨大テック企業の責任追及を改めて主張した。
「私はノボア大統領に対し、ブラジル政府と社会が、いかに緊急性をもってデジタル領域の犯罪に立ち向かっているかを説明しました。ビッグテックの規制がなければ、我々の社会は常に脅威にさらされることになります。これはすべての国家にとって現代的な大きな課題です」と述べた。
「デジタルネットワークは、法の支配が及ばず、民主主義への攻撃や憎悪・暴力の扇動が罰せられずに行われる“無法地帯”であってはなりません。児童や青少年の性的搾取を根絶することは、道徳的な使命であり、公共権力の責務です」と締めくくった。
ルーラ大統領とノボア大統領の会談では、貿易と投資、組織犯罪対策、社会開発、科学技術、南米統合、アマゾン地域の協力、環境問題、気候変動などのテーマが話し合われた。
(ノボア大統領の)公式訪問の期間中には、食料安全保障、人工知能、家族農業の分野において協定文書が署名された。最初の協定は、飢餓と貧困への対策に向けた技術協力に関するもので、両国間での経験、研究、知識の共有を通じて取り組むことが目的とされている。
さらに、人工知能分野における協力に関する覚書も署名された。この協定の目的は、学術・科学分野での協力を強化し、高性能計算インフラにおける専門人材の育成を通じて、ラテンアメリカ地域に適したAIモデルの開発を促進することにある。
そして最後に、家族農業、持続可能な農業・農村開発、アグロエコロジーへの移行、短距離流通の促進、公共の食料供給システム、有機農業の生産拡大、食品ロスと廃棄の削減などに関する公共政策を推進するための合意が成立した。
プラナウト宮での会談後、ルーラ大統領はノボア大統領および関係当局の人々をイタマラチー宮での昼食会に招待した。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)