ブラジル政府、「主権あるブラジル・プラン」の暫定措置を官報で公布
2025年 09月 3日
(画像提供/Agência Brasil/EBC)
連邦政府は、「主権あるブラジル・プラン」の実施に向けて、300億レアルの臨時与信枠を開設する暫定措置(MP)を公布した。このプランは、アメリカ合衆国が発表したブラジルからの輸出品に対する50%の課税措置によって損失を被る企業を支援することを目的としている。この暫定措置は、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領によって署名され、今週火曜日の官報に掲載された。
同プランは、ルーラ大統領によって8月13日に発表されたもので、資金は輸出保証基金(FGE)に投入され、低金利の融資に活用される。支援の優先対象となるのは、売上の依存度、製品の種類、企業規模などに基づき、アメリカ合衆国への輸出以外に代替手段を持たない企業となる。
中小企業も支援を受けるために保証基金を利用することが可でき、融資を受けるには雇用数を維持していることが条件となる。
さらに、以下の基金に対して追加拠出が行われる。外国貿易保証基金(FGCE)に15億レアル、投資保証基金(FGI)に20億レアル(ブラジル国立経済社会開発銀行(BENDS)による)、運用保証基金(FGO)に10億レアル(ブラジル銀行による)。これらの資金は、主に中小規模の輸出業者が融資にアクセスしやすくすることを目的としている。
ブラジルに課された関税爆弾は、ドナルド・トランプ大統領が採用した、過去数十年にわたる米国経済の中国に対する競争力低下を挽回するため、貿易相手国に対する関税を引き上げるホワイトハウスの新たな政策の一環である。
4月2日、トランプ大統領は、アメリカ合衆国が各国と抱える貿易赤字の規模に応じて関税障壁を課した。米国はブラジルに対しては貿易黒字を持っているため、その時点では最も低い税率である10%が適用されていた。
しかし、8月6日には、ブラジルに対する追加関税40%が発効された。これは、トランプ氏によれば、米国のビッグテック企業に不利益をもたらすブラジル側の決定への報復措置であり、かつ、2022年の(ブラジルの大統領)選挙敗北後にクーデターを試みたとして起訴されたジャイール・ボウソナーロ前大統領の裁判への対応でもある。
例外リストは存在するものの、ブラジルからアメリカへ輸出される全製品のうち、35.6%が50%の関税の対象となっている。
<支援の対象>
「主権あるブラジル・プラン」に基づく支援措置を利用できるのは、アメリカ合衆国向けに関税の影響を受けた商品を輸出しており、かつ公式の対外貿易システムに登録されている民間法人に限られる。
また、アメリカ合衆国向けに事業または職業としてに商品を輸出している個人事業主も対象となる。これには、適切な機関に輸出業者として登録されている個人企業、個人事業主(MEI)、および、法人登録番号(CNPJ)を持つ農業生産者が含まれる。
与信枠および保証措置を利用するためには、ブラジル連邦歳入庁(RFB)および国庫総検察局(PGFN)において、連邦税および社会保険料に関して適正な納税状況であることが必要となる。法的整理または私的整理の手続き中、破産、清算中の企業は原則として対象外となるが、裁判所に承認された再建計画がある場合は例外となる。
このプランの支援措置は、2024年7月から2025年6月の間に、追加関税の影響を受けた製品の輸出による売上が総売上の5%以上を占める企業に優先的に提供される。
同期間において、影響を受けた製品の輸出による売上が総売上の20%以上を占める企業は、より有利な条件での融資枠を利用することができる。緊急信用アクセスプログラム(PEAC-FGI Solidário)の保証については、前年度の総売上が3億レアル以下の中小企業(MPMEs)のみが対象となる。
輸出向け融資枠の拡充に加え、「主権あるブラジル・プラン」には、輸出企業に対する税金の免除期間の延長、輸出税還付制度を通じた連邦税の還付率の引き上げ、公的機関による食料品の調達の円滑化などの経済措置も含まれている。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)