「ラテンアメリカは米国の介入を前に、無防備な状態」と専門家が指摘
2026年 01月 4日

アメリカ合衆国によるベネズエラへの軍事侵攻とニコラス・マドゥーロ大統領の拉致は、ラテンアメリカ諸国すべてにとって重大な危険をもたらすと受け止められている。アジェンシア・ブラジルが取材した専門家らは、ドナルド・トランプ大統領の今回の行動は、国際法および国連憲章のあらゆる規範に反し、主権国家への攻撃であるとともに、民族自決の権利を無視するものだと指摘している。
リオデジャネイロ州立大学(Uerj)国際関係学部のウィリアムス・ゴンサウヴェス名誉教授は次のように述べた。
「国家主権の尊重という原則は、もはや踏みにじられました。つまり、私たちの地域のすべての国家が、米国大統領の気まぐれや、米国企業の利害に応じて、米国の介入にさらされる状況に置かれているということです。要するに、私たちの地域全体が、ドナルド・トランプ氏の意向と恣意に委ねられてしまっているのです」(ウィリアムス・ゴンサウヴェス名誉教授)
同氏はさらに、こうした行動がアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領のような政府によって受け入れられ、さらには各国国内の政治勢力にまで支持されていることは、「嘆かわしく、到底容認できない」と述べた。
「これは、アルゼンチン国民が自らの独立と自律性を守るために積み重ねてきた闘いに対する、まさに裏切りです。同じことは、ブラジル国内で今回の行動を歓迎し、称賛する政治勢力についても言えます」と語った。
ゴンサウヴェス氏は、米国研究を行う国立科学技術研究所(INCT‑INEU)の研究者でもあり、ベネズエラへの介入を称賛することは、ドナルド・トランプ氏が恣意的に「いつ、どのような理由でブラジルや周辺国に侵攻するか」を決めることを事実上容認する行為だと指摘した。さらに同氏は、トランプ氏が19世紀の帝国主義・植民地主義に典型的なレトリックを用いていると批判した。
「各国の元首は一致団結し、利用可能なあらゆる法的・政治的手段を駆使して、この介入を強く非難すべきです。ブラジルの軍も、こうした介入は国内では容認されないと明確に表明すべきだ」と、同氏は嘆いた。
ブラジリア大学(UnB)国際関係学部のアントニオ・ジョルジ・ハマーリョ・ダ・ホッシャ教授は、ドナルド・トランプ氏には国際法を尊重する姿勢が「まったくない」と断じた。
「彼は、規範に基づく国際関係を理解していません。彼が理解しているのは、力と短期的利益、そして目先の動機に基づく国際関係です。こうした姿勢が、世界をはるかに予測不能で、より危険なものにしているのです」とホッシャ氏は分析した。
同教授によると、今回の介入は、米国がこの地域のいかなる主権国家の政府にも干渉するために侵攻する可能性を開くものだという。
「いまベネズエラで起きていることは、私たちが油断してはならないという警告です。明日にはコロンビアで、ブラジルで、ペルーで、あるいは他のどの国でも同じことが起こり得るのです」と述べた。
もう一つの影響として、社会内部の分断を強める方向へと働く点が挙げられるという。
「米国は、各国の社会内部で対立を煽り、極端な勢力を増長させることで、自国の短期的利益を押し通すための余地をわずかに広げることができます。しかし、その利益は、当該社会やそこに成立している政府の利益とはまったく一致しないものです」(アントニオ・ジョルジ・ハマーリョ・ダ・ホッシャ教授)
ハマーリョ・ダ・ホッシャ教授は、「特定政権への傾斜や、地域で進行中の選挙への干渉の兆候がはっきりと見て取れます。とりわけコロンビアとブラジルが主要な標的となっています」と指摘した。
同氏は、「完全に機能不全に陥っている」とはいえ、国連が、多国間主義を擁護し、より決定的な行動を取る必要があると評価した。
ハマーリョ・ダ・ホッシャ教授は、この攻撃がラテンアメリカにもたらす影響は深刻であり、しかも即時的なものにとどまらず、長期的なものになると指摘する。
「コロンビアはすでに軍を動員しました。ブラジルも同じことをせざるを得ず、国境に部隊を配置することになるでしょう。もし米国がベネズエラを軍事的に占領する決断を下せば、私たちは悪夢を見ることになります。第二のベトナムのような泥沼状態が生まれることになるのです」と述べた。
教授の分析によれば、ベネズエラ社会は深く分断されており、政府はこれまで一度も広範な支持を得たことがなかったという。
「この政権は国を破壊した、極めて劣悪な政府です。現実よりも“社会主義のプロパガンダ”によって体制を押しつけようとしてきたにすぎません」と述べた。
ただし同氏は、ベネズエラは主権国家であり、大統領を自国領土から連れ去る行為は、国際規範に対する明白な違反にあたると強調した。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




