ベネズエラ暫定大統領、デルシー・ロドリゲス氏とは

2026年 01月 6日

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1月5日、カラカス、ベネズエラ。カラカス議会で就任宣誓を行うデルシー・ロドリゲス暫定大統領(写真/RS/Fotos Públicas)

ベネズエラ中央大学(UCV)で法学を修めた、同国の暫定大統領に就任したデルシー・エロイナ・ロドリゲス・ゴメス氏(56)は、チャベス派の古参幹部であり、拉致されたニコラス・マドゥーロ大統領の腹心である。

カラカス市出身の同氏は、2018年にマドゥーロ氏によって副大統領に指名された。ブラジルとは異なり、ベネズエラの副大統領は大統領候補とペアで同時に選出されるのではなく、大統領による任命制であり、更迭も可能となっている。

デルシー氏は副大統領に加え、経済相とベネズエラ国営石油会社(PDVSA)総裁の職も兼務していた。2024年、同国営企業の幹部らが汚職の疑いで逮捕されたのを受け、同氏は国内最大企業である同社のトップに就任した。

デルシー氏の経歴には、パリ大学での社会法専門課程の修了や、ロンドンのバークベック大学での社会政策修士号が含まれる。

暫定大統領である同氏は、現ベネズエラ国民議会議長であり、同国の元副大統領でもあるホルヘ・ロドリゲス氏の妹である。デルシー氏の兄であるホルヘ氏は、通信情報相も務めていた。

ホルヘ・ロドリゲス氏はチャベス派で最も影響力のある政治家の一人と目されており、1999年にウーゴ・チャベス氏が権力を掌握して以降に始まった、いわゆる「ボリバル革命」のプロセスを通じて政治キャリアを築き上げてきた。

リオデジャネイロ連邦大学(UFRJ)ソーシャルワーク学部のカルラ・フェへイラ教授は、デルシー氏が一貫してチャベス派の中核を担ってきたと指摘し、これまではマドゥロ大統領に次ぐ政権のナンバー2であったと強調した。

「彼女には非常に堅実な経歴があります。私たちは、最高水準の理論的・政治的素養を備えた人物を前にしているのです。彼女はベネズエラ国内で最も優れた大学、そして欧州でも屈指の名門であるパリ大学で学んでおり、理論面でも政治面でも、極めて高度な訓練を受けた一流の政治家です」(フェヘイラ教授)

フェへイラ教授はベネズエラの政治社会史を研究しており、ウーゴ・チャベス氏が主導したボリバル革命のプロセスに関する博士論文を執筆している。

「率直に言って、私の知る幹部らの中で、これほど優れた人物は見当たりません。彼女こそが、現在のベネズエラにおいて最も有能な幹部といえます」(フェヘイラ教授)

フェへイラ教授はさらに、デルシー氏とその兄ホルヘ・ロドリゲス氏が、ベネズエラのボリバル革命におけるあらゆる試練を経験してきたと指摘した。

「二人は、ベネズエラが過去25年間に直面した最大の衝突と困難を乗り越えてきました。想像しうるあらゆる困難との闘いにおいて、彼らは事実上、常に最前線に立ってきたのです」(フェへイラ教授)

デルシー・ロドリゲス氏は、ベネズエラの社会主義革命家の一家に生まれた。父ホルヘ・アントニオ・ロドリゲス氏はマルクス主義の活動家であったが、1976年、いわゆる「プント・フィホ体制(Punto Fijo)」下の政治警察であった旧警察情報サービス局(Disip)により、拷問の末に殺害された。

プント・フィホ協定は、1958年からウーゴ・チャベス氏が政権を獲得した1998年までベネズエラで続いた。同協定は、当時のベネズエラの主要3政党によって策定された統治構造を固定化したもので、政治的安定と米国からの支持を確保することを目的としていた。

この協定により、これらの政党は国家権力へのアクセスを許された一方で、国内の左翼組織や政党は排除されることとなった。

「米国によって民主的であると標榜されていたプント・フィホ体制下において、左翼が制度的に活動する余地がなかったことは明白です。実のところ、それは民主的な体制ではありませんでした」(フェへイラ教授)

こうした文脈から、デルシー氏の父は、現在は消滅した組織「社会主義連盟」に所属しており、米国人実業家ウィリアム・ニーハウス氏の誘拐に関与したとして告発された。国家の拘束下で起きた父の死は、国内で大きな反響を呼んだ。当時、デルシー氏はわずか10歳であった。

「彼女はベネズエラにおける革命の伝統の申し子です。これは、この政治家にとって、思想的にも個人的にも極めて重要で、形成的な要素となっています。彼女はその歴史全体を自らの内に宿し、今日に至るまでその原点に忠実であり続けてきました」(フェへイラ教授)

政治キャリア

ウーゴ・チャベス政権の発足初期、デルシー・ロドリゲス氏は複数の要職を歴任した。2006年にはチャベス大統領の官房長官を務めるなど、大統領府直属の役職も含まれていた。

一時期、国の最高司令部の中枢から離れていたものの、2013年にマドゥーロ第1次政権で通信情報相に就任したことで、再び国内政治の表舞台に復帰した。

2014年から2017年にかけて、デルシー氏はベネズエラの外相を務め、米州機構(OEA)からの同国の脱退交渉を主導した。同氏は、OEAのルイス・アルマグロ事務総長が米国と結託し、ベネズエラの不安定化を画策していると非難した。

2017年から2018年には、制憲議会(ANC)の議長を務めた。同機関は、マドゥーロ大統領の解任を目論む野党勢力が支配していた国民議会と、マドゥーロ政権との対立が膠着状態に陥ったことを受けて招集・設立されたものである。

制憲議会(ANC)の設立を受けて、ベネズエラの国際的な孤立は深まり、金融制裁、次いで通商禁輸措置が開始された。これらは現在に至るまで、南米同国の対外貿易を困難にさせている。

2018年6月、デルシー氏は副大統領に就任。2024年には経済相および石油部門の管理権限を掌握した。また、デルシー氏自身も米国や欧州連合(UE)による制裁対象となっている。

トランプ氏の威嚇

4日(土)、ドナルド・トランプ米大統領は、ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領に対し、同国の石油および天然資源への全面的なアクセスを要求する中で、威嚇的な発言を行った。

「彼女が正しいことをしなければ、非常に高い代償を払うことになるだろう。おそらくマドゥーロ以上に」とトランプ氏は述べた。ベネズエラは、世界最大規模の確認埋蔵量を持つ産油国として知られている。

別の場面で、米国のドナルド・トランプ大統領は記者団に対し、デルシー・ロドリゲス副大統領がホワイトハウスの要求を受け入れたと述べた。

「彼女は、われわれがベネズエラを再び偉大な国にするために必要だと考えることを、基本的に進んで実行しようとしている。とても単純なことだ」と語った。

マドゥーロ氏の拉致後、国民向けの演説に立ったロドリゲス氏は、ベネズエラが再び植民地となることはないと強調した。

「ベネズエラ国民、そしてこの国が絶対的な確信を持っていることが一つあるとすれば、それは、われわれは決して奴隷にはならず、いかなる帝国の植民地にもならないということだ」(デルシー・ロドリゲス副大統領)

フェへイラ教授はアジェンシア・ブラジルに対し、デルシー・ロドリゲス副大統領がワシントンの指示に従うという見方は、チャベス派内部の支持を弱めるための偽情報戦略の一環だとの見解を示した。

「おそらくデルシーは、トランプ氏の望むことには応じないでしょう。彼女が応じるとすれば、マドゥーロ氏がすでに試みてきたように、外国企業に門戸を開き、数多くの譲歩を行うという形です。問題は、トランプ政権が“すべて”を求めていることです。彼らは国営石油会社PDVSAの全面的な直接支配を望んでいるのです」(フェへイラ教授)

デルシー・ロドリゲス副大統領が米国との協力に前向きな姿勢を示したことについて、フェへイラ教授は、敵側の圧倒的な軍事力を踏まえれば、現実的に避けられない発言だったと分析する。

「世界のどの国も、米国と軍事的に対峙することはできません。ベネズエラがこれまでの“対決”の姿勢を維持し続けることは不可能です。デルシーは高度な政治的判断力を持つ人物であり、そのことを十分理解しているのです」(フェへイラ教授)

専門家はさらに、新たに国家元首となったロドリゲス氏には、米国の軍事的圧力に対抗する選択肢がほとんど残されていないと指摘する。

「米国側は、彼女を“裏切り者”だと印象づけることで、ボリバル革命政権を内部から崩そうとしているのです。ベネズエラ国民は裏切り者を決して許さないため、そこを突いて、体制を揺さぶろうとしているのです」(フェへイラ教授)

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)