「ただ、“行くしかない”と思いました」──19歳の元兵士、ミナス州の豪雨被災地で乳児を救出
2026年 02月 28日

元陸軍兵士のユリ・ソウザさん(19)は、兵役最終週に最大の勇気を示すことになった。退役を数日後に控えた2月24日(火)、ミナスジェライス州ジュイス・ジ・フォーラ市で発生した洪水の中、腰まで水に浸かりながら、生後5か月の赤ちゃんを救出した。
ミナス州ゾナ・ダ・マッタ地域を襲った豪雨は、同地域の歴史に残る極端な気象災害となりつつあり、州消防本部が27日(金)に発表した最新の集計では、死者65人、数千人の避難者・被災者が確認されている。
ユリさんは、特に被害が大きかったインドゥストリアウ地区で、子どもや高齢者の救助活動に当たっていた。その最中、赤ちゃんの父親が助けを求めてきたという。
「もう一人の兵士と一緒に、誰か救助を必要としていないかと声をかけながら歩いていたとき、赤ちゃんと母親が2階に取り残されているから助けてほしいと父親に呼ばれました」(ソウザさん)
家族が取り残されていたのは、兵士たちが活動していた区域の中でも最も奥まった場所で、アクセスが難しい家屋だった。
「インドゥストリアウ地区は、地区全体が水没していました」とユリさんは振り返る。「軍の車両も、エンジンが浸水する限界までしか進めませんでした」。
SNSで拡散した映像には、濁流が腰のあたりまで達する中、ユリさんが生後5か月の赤ちゃんを抱きかかえ、落ち着いた足取りで完全に冠水した道路を進む姿が映っている。頭上には電線が垂れ下がり、周囲は茶色い水に覆われていた。
ユリさんによると、軍のトラックは約300メートル先に待機しており、そこまで歩いて赤ちゃんと家族を安全な場所へ移動させる必要があった。映像には映っていないが、赤ちゃんの父親と母親も後方から同行していたという。
「その瞬間は、(流れの強さなど)危険のことなんて考えません。ただ“行くしかない”と思いました」と語る。「助けるためにそこにいたので、助けただけです」と静かに話した。
同じ24日、ユリさんは生後間もない子ども2人と複数の高齢者も救助していた。いずれも抱きかかえたまま冠水した道路を歩き、軍のトラックまで運んだという。映像には、兵士らが高齢女性を介助する場面も映っている。
ユリさんには子どもはいないが、家族からの必死の救助要請に胸を打たれたと話す。救出後は、SNSを通じて寄せられた多くの感謝や称賛の言葉に励まされているという。彼は2年間の兵役を終え、金曜日の正午に正式に退役した。義務兵役を満了しての除隊だった。
赤ちゃんの父親であるジェフェルソン・ヒンコさんも、SNSに感謝のメッセージを投稿した。
投稿の中でヒンコさんは、当時の状況が極度の混乱と恐怖に包まれていたことを明かしている。
一方で、赤ちゃんへの過度な注目を避けるため、詳細な取材には応じない意向を示した。ただし、家族は無事であると説明した。母親と赤ちゃんは親族宅に避難し、ヒンコさん本人と6匹の猫は浸水した自宅の屋根で過ごしているという。家財や家具の多くを失ったが、支援や寄付を受けながら生活を立て直そうとしている。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




