豪雨に襲われたジュイス・ジ・フォーラ市は「地質災害リスク全国9位」

2026年 02月 28日

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2月27日、ミナスジェライス州ジュイス・ジ・フォーラ市。23日(月)の暴風雨でジャルジン・ブルニエール地区に発生した土砂崩れでは21人が犠牲となり、多くの家屋が倒壊した。写真は、行方不明となっていた最後の子どもを捜索する様子(写真/Rovena Rosa/Agência Brasil)

ジュイス・ジ・フォーラ市では、強い雨が予想される際に住民へ避難を促し、避難先を明確に示す計画を市当局が整備する必要がある――。2月23日(月)に発生した大規模災害の生存者や、ジュイス・ジ・フォーラ連邦大学(UFJF)の専門家は、土砂崩れによる犠牲を防ぐためにも、こうした仕組みの導入が急務だと指摘している。

市当局は、防災局がすでに防災上の予防措置(警報体制など)を実施していると説明しているが、住民の間では「警報が届かなかった」「避難のタイミングが分からなかった」との声が相次いでいる。

ゾナ・ダ・マッタ地域を襲った今回の豪雨は、市の歴史に残る極端な気象災害となりつつあり、27日(金)時点の集計では、死者は60人を超え、数千人が家を失うか、避難を余儀なくされている。

最も被害が大きかった地域の一つが、市中心部から約3キロの東部に位置するジャルジン・パルキ・ブルニエール地区だ。周囲を急斜面に囲まれ、過去にも土砂崩れが発生してきた場所で、今回の災害では20人以上が死亡し、10人以上が瓦礫の下から救出された。

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2月27日、ミナスジェライス州ジュイス・ジ・フォーラ市。ジャルジン・ブルニエール地区の住民ダニーロ・フラテスさんが、2月23日(月)夜の暴風雨で発生した土砂崩れの救助活動について語った(写真/Rovena Rosa/Agência Brasil)

生き延びた住民の一人で、建設作業員のダニーロ・フラテスさんは、より効果的な緊急警報システムの必要性を訴える。フラテスさんによると、23日(月)には一切の警報を受け取らず、市の対応も遅れたと感じたという。「警報はなかった。警告のサイレンも鳴らなかった。本当に何もなかったんです」と語る。

彼が異変に気づいたのは、自宅を出た際に、雨が降り続く中、空中に土埃が舞っているのを見た瞬間だったという。

ジュイス・ジ・フォーラ連邦大学(UFJF)人文科学研究所地球科学学科のミゲウ・フェリッピ教授は、市にはリスクマップと一定の警報システムが整備されているものの、住民がどう行動すべきかを理解できるよう、避難ルートや公的避難所の場所を含めた情報伝達と組織体制の強化が不可欠だと指摘する。

「現場に出て住民と対話し、指導し、明確な緊急時対応計画を持つ必要があります」(フェリッピ教授)

同大学工学部輸送・地質工学科のジョルダン・ジ・ソウザ教授も、防災局の警報システムは土木工事と同じくらい重要だと強調する。

ソウザ教授によれば、ここ数日の降雨量は市内の既存インフラの能力を大きく上回り、さらに市が発注した斜面対策工事の多くはまだ施工中か契約段階にあるという。

安全な解決策が確保できない場合、教授は高リスク地域の住民の移転が必要になると述べる。

「一部の場所では、斜面を抑えること自体が不可能なのです」(フェリッピ教授)

ジュイス・ジ・フォーラ市の都市開発・市民参加局のシジーニャ・ロウザーダ局長は、アジェンシア・ブラジルの取材に対し、住民の携帯電話に警報メッセージを送るシステムがあると説明した。

一方で、地形の特性からサイレンの設置は適さないと述べ、問題は「住民が家を離れようとしないこと」だと指摘した。

「『40年住んでいるけれど、これまで何も起きなかった』と考える人が多いのです」とロウザーダ局長は語る。

さらに、避難先がないことへの不安や、家を失うことへの恐れから、危険を承知で自宅に留まる住民もいると説明した。ジャルジン・パルキ・ブルニエール地区で犠牲となった母親もその一人で、近くに住む長女から避難を促されていたが、家を離れなかったという。

この女性の家は、すでに防災局が危険と判断していた隣家に接しており、複数の判断ミスが重なって悲劇につながった。

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2月27日、ミナスジェライス州ジュイス・ジ・フォーラ市。23日(月)の暴風雨でパイネイラス地区にあるキリストの丘で発生した土砂崩れ(写真/Rovena Rosa/Agência Brasil)

ロウザーダ局長によると、ジュイス・ジ・フォーラは地質災害リスクが全国で9番目に高い都市で、住宅は4段階のリスクレベルに分類されている。

最も危険度の高い区域では、防災局のチームが常時巡回し、住民に危険の兆候があればどう行動すべきかを指導する「予防活動」が行われているという。

住宅が立ち退き対象となった場合、市は家賃補助を支給しており、支給額は従来の200レアルから1,200レアルへ引き上げられた。

また、連邦政府の住宅プログラム「私の家、私の人生」で建設中の278戸が完成すれば、支援できる世帯数はさらに増える見込みだ。現在、446人が同プログラムの対象となっている。

市内では複数の地点で土砂崩れが発生したが、ブルニエール地区では住宅が密集していたため、犠牲者が多くなったとロウザーダ局長は説明する。

フェリッピ教授は、この問題は貧困層の住宅アクセスの不平等を反映していると指摘する。

ロウザーダ局長は「この地区では社会支援とインフラ整備を組み合わせた予防活動を継続してきた」と強調し、「私たちの任期中、これまで豪雨で死者も避難者も出ていなかった」と述べた。

「住民がこうした地域に住むのは必要に迫られてのことで、住宅の構造は地質条件に対して脆弱なのです」とも語った。

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2月27日、ミナスジェライス州ジュイス・ジ・フォーラ市。23日(月)の暴風雨でパイネイラス地区にあるキリストの丘で発生した土砂崩れ(写真/Rovena Rosa/Agência Brasil)

ジュイス・ジ・フォーラ市は現在、都市省、新PAC(成長加速計画)、国家防災局などの資金を活用し、5億レアル(約152億円)を超える斜面対策工事を進めている。

しかし、ロウザーダ局長によれば、公共工事は入札手続きや国営銀行の審査などに時間がかかるため、進捗は遅れがちだという。さらに、現市政が発足した時点で、市役所の体制が「 機能不全状態」にあったことも影響していると説明した。

<浸水対策の切り札「ポーデル」>

豪雨被害が集中したインドゥストリアウ地区では、浸水を防ぐための主要対策として「ポーデル(pôlder/ポルダー)」の設置工事が進められている。市が進める対策の中で最も高額な事業であり、同地区が完全に水没した今回の災害を受け、重要性が一段と高まっている。

ポーデルとは、堤防や壁で浸水しやすい区域を囲い込み、内部に溜まった水をポンプで段階的に排出する仕組みで、オランダなどで広く用いられている治水技術だ。

「費用はかかりますが、長年浸水に苦しんできた地域にとって極めて重要な工事です」(ロウザーダ局長)

ジュイス・ジ・フォーラ連邦大学(UFJF)の観測によると、2月25日までの累積雨量は749ミリに達し、過去30年間で最も多い記録となった。同規模の豪雨は、1972年に一度記録され、より最近では1985年にも発生しているが、当時とは市街地の構造や人口分布が大きく異なっており、今回の被害拡大の一因となったとみられる。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)