中東の緊張高まり、アジア諸国が原油調達先を再編か ブラジルIBP会長が指摘

2026年 03月 5日

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3月4日、イラン・ホルモズガーン州。攻撃を受けたイラン革命防衛隊海軍のコルベット艦 IRIS Shahid Sayyad Shirazi (写真/RS/Fotos Públicas)

ブラジル石油・ガス・バイオ燃料協会(IBP)のホベルト・アルデンギ会長は、ブラジルの消費者が支払うガソリンやディーゼルなど石油由来燃料の価格への影響は、すぐには反映されない可能性があると述べた。

原油価格は、先週土曜(2月28日)に始まった米国とイスラエルによるイランへの攻撃以降、急騰している。これに対しイランは、テルアビブや複数の産油国にある米軍基地への報復攻撃を行い、緊張が一段と高まった。

ブラジルの石油業界を代表するIBPのアルデンギ会長は、各製油所が一定量の原油在庫を保有していることが、価格変動が即座に反映されない理由の一つだと説明する。ただし、原油価格が高止まりすれば、製油所は徐々に高値で原油を調達せざるを得なくなる。

「より高い価格の原油が製油所に届けば、一定の時間差を経て、新規契約にその価格が反映されることになります。既に締結済みの契約については、従来の価格が維持されます」(アルデンギ会長)

同氏によると、こうした価格転嫁のプロセスは長期に及ぶ可能性があり、「最大で半年ほどかかる場合もある」という。「短期的に価格帯が変わることはなく、ブラジルの消費者に即座に影響が及ぶこともない」とアルデンギ氏はアジェンシア・ブラジルに語った。

同会長は、世界市場が抱える不確実性も、消費者価格への影響を遅らせる要因だと指摘する。

「原油価格が高水準を維持するかどうかは、武力衝突が継続するか、ホルムズ海峡が封鎖されるか、紛争が中東の他国へ拡大するかなどに左右されます。現時点では、これらが現実化するかどうかは不透明です」(アルデンギ会長)

さらにアルデンギ氏は、石油市場が長期契約に基づいて運営されており、契約は履行されなければならない点を強調した。また、複数の国が戦略備蓄を保有しており、今回のような危機局面ではそれらが活用される可能性が高いとも述べた。

<ホルムズ海峡の封鎖と代替ルート>

中東産原油の大半が通過するホルムズ海峡の封鎖について、アルデンギ会長は、海峡が閉鎖されても地域の原油供給が完全に途絶するわけではないと指摘する。代替ルートが存在するためだ。

ホルムズ海峡はペルシャ湾の出口に位置し、イラン沿岸に面している。同国は米国とイスラエルによる攻撃への報復として封鎖を指示した。アルデンギ氏は、例えばイラクはトルコ経由で原油を輸送できると説明する。

サウジアラビアも、紅海側へ原油を運ぶパイプライン網を持ち、別の物流ルートで輸出が可能だという。アラブ首長国連邦も同様で、イラン自身も一部の原油を別ルートで輸出できる可能性がある。

「ホルムズ海峡を通過する全量を代替できるわけではありませんが、一定の量については別ルートで輸送可能です。したがって、少なくとも今後60〜90日間は、価格水準が安定的に大きく変動することはないでしょう」(アルデンギ会長)

<世界の石油・ガス貿易の再編>

またアルデンギ会長は、中東情勢を受けて、石油・天然ガスの世界的な貿易ルートが再編される可能性が高いと指摘する。

「中東への依存度が高い国々は、たとえ情勢が落ち着いたとしても、供給源の多角化を進めるでしょう。特に日本、韓国、中国、インドといったアジア諸国は、ホルムズ海峡を通過する原油に大きく依存しています」(アルデンギ会長)

「たとえ中東情勢が正常化しても、中長期的にその状態が続く保証はありません。再び軍事的な衝突が起きる可能性も否定できません」(アルデンギ会長)

こうした状況を踏まえ、アルデンギ氏はブラジルが石油・ガス市場でさらに成長する余地があると見ている。

「ブラジルは信頼できる産油国であり、国内には大手国際企業が進出しています。ペトロブラスも、豊富な経験を持つ生産・輸出企業として存在感を示しています」(アルデンギ会長)

同氏は、ブラジルが石油産業、地質調査、赤道岸地域を含む新規地域での掘削を継続する必要性を強調した。

「今後数十年のエネルギー安全保障を確保し、世界的な緊張に左右されない経済を維持すること。そして、余剰の原油を輸出し、ブラジルに外貨をもたらすことが重要です」(アルデンギ会長)

<国際市場におけるブラジルの存在感>

アルデンギ会長は、ブラジルがすでに国際市場で重要な産油国となっている点を強調した。2025年の国内原油生産は1日あたり380万バレルに達し、輸出量は170万バレルに上った。

「今後数年で、さらに生産量が増える可能性があります。もしブラジルが赤道沿岸沖やペロタス海盆での探鉱が成功し、新たな生産が可能になれば、国際市場での存在感はさらに高まるでしょう」(アルデンギ会長)

アルデンギ氏は、ブラジルが国際市場に供給できる余力を持つと評価する。

「ブラジルは重要なプレーヤーであり、中東からの供給不足や逼迫を、現在および将来の生産で補うことができます。すでに世界で9番目の産油国であり、9番目の輸出国でもあります」(アルデンギ会長)

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)