サンバ・カーニバルに参加する青森五所川原の「たちねぷた」組立はじまる
2015年 02月 6日青森県五所川原市の巨大立佞武多(たちねぷた)がサンパウロ市サンバカーニバルに”出陣”するにあたり、(2月)3日深夜に制作者らが着聖(サンパウロに到着)した。
本番会場でもあるサンパウロ市北部アニェンビのサンボードロモで4日午前、「たちねぷた」組立開始式が行なわれ、制作した福士裕朗(ふくし・ひろあき)さん(33、青森)は「日本を代表して参加でき誇りに思う。ねぷたを世界に広めたい。震災の復興支援のお礼もしたい」と意気込みを語った。
近年1部上位のサンバチーム「アギア・デ(ジ)・オウロ」が、日伯外交樹立120周年をテーマにパレードを行なうにあたり、一部演出を担う服飾デザイナーのコシノジュンコさん発案で、立佞武多が登場することになった。
本番会場のスタート地点で行なわれた式冒頭、アギア・ジ・オウロでアルモニア(行進の管理)を任されるセルソ・ミズカミさんが「ニホン、ブラジル、イッショニガンバリマショウ」と日本語でエールを送った。
協力団体インスチトゥート・パウロ・コバヤシ(IPK)の小林ヴィットル代表は、「日本人の血が流れている我々にとって大変な喜びである」とあいさつ。同氏によれば過去20年のサンパウロ市1部リーグで移民や日系社会をテーマにしたのは3回。
「今回は”日本”がテーマ」と意義を強調した。さらに「アギア・ジ・オウロのパレードには総勢3500人が参加するが、日系人、日本人だけで650人を予定する。これも最大規模だ」と胸を張った。
2011年東日本大震災の復興を願って作られた、高さ14メートル余りの巨大な「鹿嶋大明神と地震鯰」が到着。制作者の福士さんが計14人の組立班を紹介し、「ねぷたを世界に広めたい。震災の復興支援のお礼もしたい。安全に作業を進め本番に備えたい」と意気込みを語った。
福嶌教輝在聖総領事は「日本と何度もやり取りし15コンテナが到着し、通関手続きも間に合った」と安どの表情を見せ、「がんばれ東北、ありがとうブラジルという気持ちを込めて準備してきた」と話した。
下見を終えた五所川原市観光物産課長の葛西達也さんは「大きな会場だがねぷたも負けない」と自信を見せ、「コスト、コミュニケーションなど不安あったが励ましを受けここまでこれた。これを機に1万8千キロの距離を縮めたい」と思いを新たにした。
とび職の乗田孝正(のりた・こうせい)さん(55、青森)は「非常に良い状態で運ばれてきた。地元に良いニュースを届けたい」と本番を待ちきれない様子。大工の竹内義博さん(60、青森)は「現地に運ばれ感動している。このまま本番も上手くいくはず。毎年祭りの日は不思議と雨が降らないから心配していない」と悪天候の不安も一蹴した。
開始式後、アギア・ジ・オウロとねぷた班が打ち合わせを行い、修繕箇所や台車に乗せる作業工程などを確認。同日午後8時からさっそく組立作業に取り掛かった。
(写真/記事提供/ニッケイ新聞)