ブラジルの上下水道整備に日本の技術が貢献

2017年 04月 28日

住友商事 ブラジル

住友商事は、Brookfield Business Partners社およびBrookfield Asset Management社(本社:カナダ トロント)の投資顧客と共同で、オデブレヒト・アンビエンタル社(オーデブレヒチアンビエンタウ)が有する在ブラジルの上下水道や産業用水処理事業26社の株式70パーセントを取得したことを4月26日(水)、発表した。

住友商事の出資額は約2億50000万USドルで、間接持分比率は14パーセントとのこと。同社はブラジルにおける水事業に参画して、国内の12州にわたる約100市町村において、約1700万人に対し上下水道や産業用水処理サービスを提供する。

ブラジル国家衛生情報システム(SNIS)によると、ブラジルにおける上下水道の普及率は上水道83パーセント、下水道50パーセントだという。さらに水道管からの漏水が多く、上下水道インフラの整備と事業運営の高度化が必要とされているという。

また、現在、ブラジルにおける水事業の民営化率は10パーセント程度で、ブラジル政府は上下水道セクターに対し積極的に民間資本を導入する方針を採っているとのこと。民間事業者が参画するコンセッション事業(料金徴収を伴う公共施設などについて、施設の所有権を公的機関に残したまま、運営を特別目的会社として設立される民間事業者が行う事業形態)の拡大も見込まれるという。住友商事 ブラジル

住友商事はこれまで、東京都の出資団体である東京水道サービスや東京都下水道サービスなどの協力を得て、複数回にわたってブラジルでの現地調査を実施してきたという。

その結果、日本の上下水道事業の持つ質の高い運営ノウハウと日本メーカーの技術力提供により、ブラジルにおける上下水道普及率の拡大とオペレーションクオリティの向上に寄与出来る余地が大きいことを確認したとのこと。

住友商事は、安定的な水サービスの提供は地域の水環境の向上、ひいては地域社会の発展に寄与するという理念のもと、地域特性に最適なスキームを通じた水インフラの整備を基本戦略の一つとして掲げて、各地で上下水処理や海水淡水化、コンセッション事業などの水事業に取り組んできた。

英国で50パーセント出資する上水道事業会社Sutton & East Surrey Water 社や中国における下水処理場運営など、多様な水事業を通じて培ってきた住友商事は、そのノウハウを活用、また事業の知見が豊富な人材を複数名現地に派遣して、ブラジルにおける水事業の運営に長期的に取り組んでいく。

(文/麻生雅人、写真提供/住友商事)
写真上はサンパウロの下水処理場、下は浄水場