ボウソナロ議員、差別発言で黒人社会に対し損害賠償を命じられる

2017年 10月 5日

ボウソナロ

ブラジルの次期大統領選挙の候補としても名前が挙がっているジャイール・ボウソナロ(ボルソナロ)連邦下院銀(PSC:キリスト社会党)が、リオデジャネイロ州司法裁判所によって、キロンボの住人の子孫たちのコミュニティと黒人社会に対する人道的な損害賠償として、5万レアルを支払う命令を言い渡された。「オ・グローボ」など現地メディアが伝えている。

ボウソナロ議員は拡散的権利保護基金(何らかの利益の侵害に基づく集団訴訟で裁判所が金銭賠償を命じた場合に賠償金を納入する特別基金、通称FDDD)に罰金を納入しなければならない。

この判決は、2017年の4月、リオ市内の「ヘブライクラブ(ユダヤ人文化センター)」で行った演説の中で差別的な発言があったために連邦検察省によって訴えられた訴訟の結果とのこと。

キロンボのコミュニティを訪問した際にもボウソナロ議員は「アフリカ系の子どもは一番軽い若者でも7アホーバ(約80㎏)はある」「彼らは種馬にもならないね」などと語ったとされている。

判決に署名をしたアナ・パジーリャとヘナート・マシャードの両弁護士は、これは、キロンボの住人やその子孫たちのコミュニティと黒人社会に対しする被告人の差別的で偏見に満ちた発言に対する判決だと述べた。

「黒人たちを動物扱いすることで、彼らから誇りと尊厳を奪っています」(黒人側弁護士団)

そして議員の差別的発言に対し30万レアルを請求する訴訟を起こした。

最終的にフラナ・エリザベッチ・メンデス裁判官は、連邦検察省が請求下額の一部となる5万レアルを請求した。

フラナ裁判官は、ボウソナロ議員がキロンボの住人やその子孫について話したことは「公序良俗に反するだけでなく、リスペクトが一切なく彼らを傷つける言葉をあえて選んでいます」と述べた。

「これは議員としての立場とは一切関係のない個人的な発言で、相手を傷つける差別発言です」(フラナ・エリザベッチ・メンデス裁判官)

また裁判官は「表現の自由は憲法で保証されています。しかしだからといって何を言ってもいいというわけではありません。隣人や地域社会、集団などに敬意を払わなくてはなりません」

(文/麻生雅人、写真/Fábio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)