VISAカードCMに”死刑執行人”ロッシとジダンが出演
2014年 01月 15日ブラジルのVISAカードが同社の新しいCMに、過去のワールドカップ大会でブラジル敗退を決定づけた、いわば死刑執行人ともいえる二人の元選手を起用、刺激的なCMを制作したことを2013年12月4日付け「UOL」(電子版)が報じている。
CMに起用されたのは、1982年のワールドカップで優勝候補だったブラジル戦でハットトリックを決めたイタリアのパオロ・ロッシと、2006年のワールドカップ準々決勝でブラジル・セレソンを手玉に取ったというフランスのジネディーヌ・ジダン。ブラジルにとってはトラウマにもなっている二人だ。
CMの舞台はブラジルの床屋。客で店にいるのがロッシだ。支払い時にVISAカードを出したとき、店主はカードの名前が「パオロ・ロッシ」であることに気づく。蘇る少年時代、1982年の悪夢の記憶。パオロの”活躍”で負けたブラジル、嘆く父...。
現実に戻った店主は、パオロを睨む。店主の手には、まだ髭剃り用のカミソリが...。と、サスペンスタッチになったかと思いきや、店主は笑顔で「また来いよ、パウリーニョ」とパウロを笑顔で送り出し、そこに「ブラジルで開催されるワールドカップはVISA同様、どなたでも大歓迎です」というナレーションが入る、というもの。
で、ドアが開いて入ってきた次の客が、今度はジダン...店主が心の中で「何て日だ!」...というのがオチ。
「ブラジル人はもてなし上手です。(ワールドカップを見るために)世界中からブラジルに来るどなたをも、親切に迎えるでしょう。もちろん、ジダンもロッシもね(笑)。私たちのカードを利用される方も同様に、安全で、どこでも歓迎されると思いますよ」とは、VISAラテンアメリカとカリブ地域マーケティング担当で副社長でもあるアドリアン・ファリーナ氏。
VISAにとってブラジルは、合衆国に次いでアメリカ大陸で2番目に大きな市場とのことで、重要視しているそうだ。
「情報の消費量が膨大な今日、印象に残るコマーシャルを作らなければ皆の記憶に残りませんからね」(同)
CMを制作した広告代理店 Almap社は、ツイッターやYOUTUBEなどSNSで話題になるような広告作りを意図したという。予算の30%はSNSでのキャンペーンに費やされているという。
実際にこの広告は、2013年にPUMAが作った、「マラカナンの悲劇」を題材にしたCMと並び話題となっている模様。
(文/麻生雅人、写真/Getty Images)
写真は1982年、7月5日。ワールドカップスペイン大会。バルセロナで行われたブラジル対イタリア戦でのパオロ・ロッシ(右)とジュニオール(左)