ルーラ大統領、米関税措置対する声明を発表(全文)

2025年 08月 1日

54661561804_e47f824f5d_o
ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ・ブラジル連邦共和国大統領(写真/Ricardo Stuckert/PR)

7月30日(水)夜、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は公式声明を発表し、米国によるブラジル経済および司法への介入に対して、民主主義と国家主権を擁護する姿勢を明確にした。

「ブラジルは人権と三権分立を尊重する、主権を持つ民主国家です。国際社会との調和的な共存と多国間主義を重視する国であり、それが我々の経済力と外交の自立性を支えてきました。米国政府によるブラジル司法への干渉は容認できません」(ルーラ大統領)

これは、米国政府が連邦最高裁判所(STF)のアレシャンドリ・ジ・モラエス判事に対する制裁を発表した後、さらに数時間後にドナルド・トランプ大統領による大統領令を通じて、ブラジル製品に対する50%の関税を正式に導入した後、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領による初の公的な返答である。ただし、この関税措置には約700品目の例外リストが含まれている。

声明の中でルーラ大統領は、連邦政府としてアレシャンドリ・ジ・モラエス判事への連帯の意を表明し、同判事が「祖国と国民を裏切り、自らの利益を守ろうとする一部のブラジル人政治家の行動によって制裁の標的となっている」と述べている。

「ブラジルにおける民主主義と人権尊重の根幹の一つは、司法権の独立性にあります。これを弱体化させようとする試みはなんであれ、民主制度そのものへの脅威となります。司法は(貿易)交渉の対象ではありません」と、ルーラ大統領は続けている。

大統領は、ブラジルの法律はすべての国民および企業に適用されており、国民の生活や民主主義に影響を及ぼす活動は、デジタルプラットフォームを含め、規制の対象となりうると述べている。

「ブラジル社会は、憎悪、人種差別、児童ポルノ、詐欺、詐欺行為、人権や民主主義に反する言説(コンテンツ)は受け入れません」(ルーラ大統領)

ルーラ大統領が署名した声明では、米国政府がブラジルの輸出に対して発表した通商措置を正当化するために政治的な論拠を用いることに対し、これまで同様、正当化できないという立場をとっている。

「ブラジルは過去数十年にわたり、米国との間で物品(注:例えば機械類、原材料、消費財など)およびサービス(注:例えば通信、保険、コンサルティングなど)に関する著しい貿易赤字を抱えてきました。対ブラジル措置における政治的動機は、国家主権および両国間の歴史的関係そのものを脅かすものです」と述べている。

最後に、ブラジル連邦政府は、米国との関係において商業的側面のみを交渉の対象とする意向を示しつつも、経済相互主義法など自国の法律に定められた防衛手段を放棄することなく、関税による経済的影響を緩和するための緊急対策計画も併せて講じる方針であると記されている。

「わが国の経済は、主要な国際市場およびパートナーとの統合がますます進んでいます。すでに、これらの措置による影響の評価と、労働者、企業、そしてブラジルの家庭を支援・保護するための対策の策定を開始しています」と、ルーラ大統領の公式声明は締めくくられている。

以下は、ルーラ大統領の公式声明全文。

「ブラジルは主権国家であり、民主国家である」

ブラジルは主権国家であり、民主国家であり、人権と三権の独立を尊重しています。

また、多国間主義と国家間の調和ある共存を擁護する国であり、これが我が国の経済の強さと外交政策の自立性を支える要因となっています。

米国政府によるブラジル司法への干渉は容認できません。

ブラジル政府は、連邦最高裁判所(STF)のアレシャンドリ・ジ・モラエス判事に連帯の意を表します。彼は、祖国と国民を裏切り自らの利益を守ろうとする一部のブラジル人政治家の行動によって、制裁の対象となった人物です。

ブラジルにおける民主主義と人権尊重の根幹の一つは、司法権の独立性にあります。これを弱体化させようとする試みは、なんであれ、民主制度そのものへの脅威となります。司法は(貿易)交渉の対象ではありません。

ブラジルでは、法律は、すべての市民およびすべての企業に適用されます。国民の生活やブラジルの民主主義に影響を与えるいかなる活動も、規則の対象となります。デジタル・プラットフォームも例外ではありません。

ブラジル社会は、憎悪、人種差別、児童ポルノ、詐欺、詐欺行為、人権や民主主義に反する言説(コンテンツ)は受け入れません。

ブラジル政府は、米国政府がブラジルの輸出に関して発表した通商措置を正当化するために、政治的な論拠を用いることは正当化できないと考えています。

ブラジルは過去数十年にわたり、米国との間で物品およびサービスに関する著しい貿易赤字を抱えてきました。対ブラジル措置における政治的動機は、国家主権および両国間の歴史的関係そのものを脅かすものです。

ブラジルは、米国との関係における通商面の交渉には引き続き前向きですが、自国の法律に定められた防衛手段を手放すことはありません。わが国の経済は、主要な国際市場およびパートナーとの統合がますます進んでいます。

すでに、これらの措置による影響の評価と、労働者、企業、そしてブラジルの家庭を支援・保護するための対策の策定を開始しています。
.
ブラジル連邦共和国大統領
ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)