「米国はブラジルに対し、憲法上不可能な解決策を押し付けようとしている」
2025年 08月 19日
ブラジルのフェルナンド・アダジ財務大臣は8月18日、ブラジル産品への50%関税の適用を緩和するための道を模索して、ブラジルはアメリカ合衆国との対話を継続していると述べた。しかしながら、米国側がブラジルに対して「憲法上不可能な」要求を解決案として押し付けようとしているため、交渉は不可能だとも語った。アダジ大臣は、「ブラジル国内の制度的・政治的状況が理解がされていない」と指摘した。
「現時点で交渉が成立していない理由は、制度的な障壁があることを示す公式文書が存在しているためです。それは、アメリカ合衆国がブラジルに対して、、行政府が他の権力、今回の場合は司法権に干渉するという憲法上不可能な要求を求めていることを示しています。我々には、政治的にも法的にもそのような介入を可能にする憲法上の枠組みはありません。したがって、実現不可能な要求が、交渉の行き詰まりを生んでいるのです」(フェルナンド・アダジ財務大臣)
アダジ大臣によれば、現在のブラジルと米国の二国間貿易は、1980年代の水準の半分にまで縮小しており、今後さらに減少する傾向にあるという。
「かつて(ブラジルから)米国に向けての輸出は全体の25%を占めていましたが、現在では12%にまで減少しています。今の流れを見る限り、残念ながら二国間貿易はさらに縮小すると思われます」と語った。
同日午前、アダジ氏はサンパウロで開催された「フィナンシャル・タイムズ ラテンアメリカ気候変動と社会的影響に関する首脳会議」と「ブラジル2030:可能性に満ちた国家へ」の開会式に出席した。これらのイベントはタイムズ・ブラジル/NBCとファイナンシャルタイムズの共催で行われた。
また、テレビ局のインタビューの中でアダジ大臣は、米国のスコット・ベッセント財務長官との会談がキャンセルされた背景には、ブラジルの極右勢力の働きかけがあったと述べた。
大臣は、財務省は米国政府との交渉を証明する文書をすべて保有していると強調し、5月に行われたベッセント財務長官との会談は「非常に良好だった」と振り返った。
「(あの会談は)素晴らしいものでした。では、5月から7月の間に何が変わったのか、それは彼らに尋ねるべきです」(フェルナンド・アダジ財務大臣)
さらにアダジ大臣は、会談がキャンセルされたにもかかわらず、同時刻にベッセント財務長官がブラジル政府の“対抗勢力の一員”(具体的には連邦下院議員エドゥアルド・ボルソナロ)と面会していたことに疑念を呈した。その後、記者団へのインタビューでアダジ大臣は、ジャイール・ボウソナーロ前大統領の家族が「交渉の成立を妨げる活動をしている」と批判した。
「どんなに相手国が敵対的であっても、私は約束した会談をキャンセルするような不誠実な行為は絶対にしません」(フェルナンド・アダジ財務大臣)
現在、ブラジル政府はアメリカ合衆国による50%関税、いわゆる関税爆弾の影響を受けた生産部門を支援するための緊急対策の制度化を進めており、「暫定措置:主権あるブラジル」と呼ばれる措置を通じて300億レアルの融資枠を含む予算が予定されている。
「今週の課題は、この緊急対策を制度化し、末端まで資金を届け、ブラジルをこの外的攻撃から守ることです」(フェルナンド・アダジ財務大臣)
アダジ大臣は、現時点でこの緊急対策は「十分に調整されており」、拡大の必要はないと述べました。
「もしこの状況が確定的なものとなれば拡大する理由は見当たりません。ただし、今後の展開を見守る必要があります。現時点では、拡大の必要はないと考えています」(フェルナンド・アダジ財務大臣)
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)